わたしはナユちゃん!


第弐話「インターミッション1」


1ヶ月ぶりに帰ってきた雪の街。だが、そのたった1ヶ月の間に、この雪の街はまるでアニメのような場所に、変貌を遂げていた。
そして俺は、名雪が待ち合わせに遅れた理由を、その目で見ることになった。
名雪の家に向かう途中、名雪は、何人もの挑戦者に勝負を挑まれ、
その尽くを返り討ちにしていた。
だが、その数が半端ではない。10mほど歩くたびに勝負を挑まれているのだ。
その全てを一瞬で返り討ちにする名雪に、頼もしいものを感じるが、怒らせたら命が危険だ。
これからは名雪を怒らせるような言動は控えよう、と思いながら名雪の後ろを歩く。
結局、家に着くのに、1時間以上掛かってしまった。

名雪「ただいま〜っ♪」

名雪が勢い良くドアを吹き飛ばす。

祐一「ドアを破壊するな!」

一瞬目が点になったが、自分の役目とばかりにしっかりつっこむ。

名雪「え〜、だってナノマシン装甲内臓だから、一瞬で修復されるんだよ〜」

名雪の言ったとおり、破壊されたドアは、もう修復されていた。
だが、引き下がるわけにはいかない。

祐一「だからって破壊することないだろ。普通に開けりゃいいじゃないか」

名雪「だって、めんどくさいんだもん・・・」

わざわざザクバズーカで吹き飛ばすんだったら、普通に開けたほうがいいんじゃないかと思う。

祐一「めんどくさいってなぁ・・限度が」

そう言いかけた時

名雪「口答えするの?」

目の前にニッコリ微笑ながらビームサーベルを抜く名雪がいた。

祐一「いえ、なんでもありません」

物凄く怖かった。
1ヶ月の間に何があったのかわからないが、街の変貌と共に、名雪の性格まで変わってしまったようだ・・・


秋子「祐一さん、お帰りなさい」

何時の間にか秋子さんが居た。相変わらず気配をまったく感じさせない人だ。

祐一「ただいま、秋子さん」

1ヶ月ぶりに見た秋子さんの笑顔が眩しく、ちょっと感傷的な気分になってきた・・・

名雪「おかあさ〜ん、私はぁ?」


が、頬を膨らませて拗ねる名雪のせいで、そんな気分は吹き飛んでしまった。

秋子「名雪も、お帰りなさい」

名雪「ただいま、お母さん」

秋子「さ、玄関で立ち話もなんですから、お茶をいれて、ゆっくり話しましょう」

そうだった、聞きたいことがいっぱいあったんだ。
このほのぼのとした雰囲気のおかげで、すっかり忘れてしまっていた。

祐一「そうですね。聞きたいことも色々ありますし」

1ヶ月ぶりに帰ってきた"自宅"を見回しながら、居間へ向かう。
外見はなんの変化も無いように見えるが、ナノマシン装甲以外にも、何か仕掛けがあるのかもしれない。
それも後で、まとめて聞くか・・・

秋子「ちょっと待っててくださいね」

そう言って、秋子さんが台所にお茶をいれに向かう。
そして、お盆にティーカップを3つ乗っけて直ぐに戻ってくる。

祐一「さっそくですけど、単刀直入に聞かせてもらいます」

これ以上引っ張るのも難なので、早速聞くことにする。

祐一「俺がこの街を離れた1ヶ月間に、この街に何があったんです?」

名雪「えっとねぇ、祐一が帰った次の日に、臨時ニュースで発表があったんだよ」

祐一「どんなニュースだ?」

名雪「倉田財閥がね、月に作った研究所で、黒歴史の兵器の実用化に成功したって」

倉田? 月? 黒歴史? ・・・・頭の中で意味不明の単語がぐるぐると回る。
そして、チーン!と、計算式がまとまる。
月+黒歴史=

祐一「アナハイム エレクトロニクスかっ!!」

名雪「わっ、祐一、よく分かったね」

倉田財閥恐るべし。っていうか、アナハイムって、月の都市の名前じゃないのか?
ま、まあ、それは置いとくにしても、いつの間に月に研究所なんか作ったんだよ。倉田財閥。

祐一「で、その黒歴史兵器をなんで、多数の民間人が所有してるんだよ」

俺が見た限り、この街の人間は皆、黒歴史兵器を所有しているようだった。

名雪「それはね、何故かこの街の人達だけに、無料で装備させてくれるんだって」

祐一「危険だろっ!」

思いっきり叫んだ。
名雪が耳を塞ぎながら言い返してくる。

名雪「だいじょうぶなんだよ〜」

祐一「どうして大丈夫なんだよ!」

秋子「祐一さん、落ち着いて。それについては私が説明しますよ」

秋子さんに宥められ、息を整える。

秋子「それでは、説明のためにちょっと準備してきますね」

と言って、秋子さんは居間を出ていってしまった。
なんの準備が必要なんだ? と思ったが、大人しく待つことにする。
少しして戻ってきた秋子さんは、

何故か、某説明が趣味の根性がひん曲がったオバサンのような格好をして登場した。

秋子「祐一さん、何を考えているんですか?」

ニッコリと微笑んでいるが、背筋にとてつもない悪寒を感じる。
心底恐ろしい微笑だった。

祐一「い、いえ! なんでもないです!」

考えを読まれた。相変わらず恐ろしい人だ・・・

秋子「それでは、説明しますね」

つづく

 



後書き

どうも!「わたしはナユちゃん!」第弐話をおとどけしました!
名雪「う〜・・・」
どうしたかね? アシスタントの名雪君。
名雪「私、こんなに乱暴じゃないよ〜」
(何言ってるんだか、前回私を殺したくせに・・)

名雪「何か言ったかな?(ニッコリ」
いえ!なんでもないであります!
名雪「怪しいよ〜」
ホントになんでもないです!
名雪「ふ〜ん・・・今回は許してあげるよ」
(ほっ)
名雪「にしても・・・ギャグが少ないね・・・」
うぐ・・・こ、これからどんどん増えてくるよ(汗
ま、また次の話でお会いしましょう!
名雪「あ、また逃げたよ〜・・・でもやっぱり逃がさないよ(ニヤリ」

名雪「ブラックホールキャノン! 発射ァッ!」

みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ(圧壊