わたしはナユちゃん!
第壱話「ここはドコ?」(改訂版)
俺と名雪が恋人同士になってから1ヶ月ほど経った頃、
急に両親が海外から帰るということになったので、嫌々ながら以前まで暮らしていた街へと戻るハメになった・・・
もちろん、名雪と離れるつもりは毛頭なかったので、両親を説得し、すぐに名雪の待つ雪の街に帰るつもりでいた。
が、思いのほか説得に時間が掛かり、帰ってくるのに1ヶ月程かかってしまった。
母さんは秋子さんばりの速さで許可をくれたのだが、問題は親父だった。
普通・・・40過ぎのいい大人が泣いて駄々こねるか?
以前転勤の際には極普通の親父だったのだが・・・何でココまで。
たかが3ヶ月の海外生活でどうやったらここまでの変貌をとげられるというのだろうか。
その事を母さんに問いただしてみたが、返ってきたのは「さあ?」という言葉だけだった。
直後、フフフ・・・と怪しげに微笑んだので、間違い無く親父に何かやったのだろう。
だが、俺には怖くてそれ以上の事は聞けなかった。名雪・・・不甲斐ない恋人を許してくれ・・・
因みに、親父は最後まで駄々をこねていたのだが、母さんの拷問紳士的な説得により、
血ダルマになりながら渋々ではあるが許可をくれた。
そんなこんなで、やっとの思いで帰ってきた雪の街は・・・信じられないほどの変貌を遂げていた。
「なんだよ・・・これ・・・」
雪の街に着いて、開口一番のセリフはこれだった。
「こんな街だったっけか?」
俺は自分の目を疑った。
飛び交う緑や赤の蛍光色のビーム、そして頻繁に聞こえる爆発音。
夢かとも思いたかった思ったが、ビームが頬を掠めた時に流れた血が、これは現実だということを物語っていた。
「と、とにかく、名雪との待ち合わせ場所に行かなきゃな・・・」
誰に言うわけでもなく呟く。
口に出して言うことで、冷静さを、保っていたかった。
俺、名雪に会うまで、生きていられるかな・・・
名雪・・・頼むから今回は早く来てくれ。
俺はまだ、死にたくない。
神様、名雪様、と祈りたい気分だ。
・・・・・・・
1時間が経った・・・まだ来ない。
っていうか、俺、よく生きてるな・・・
運が良いのか、俺に向かって飛んでくるビームやロケットパンチは、みなスレスレのところを通っていった。
服や髪の毛のいたる所が焦げていたが・・・
俺悪運だけはあるんだよなぁ。
・・・・・・・
2時間経過・・・
「遅い・・・」
以前のような極寒の寒さはないが、代わりに以前以上の生命の危機を感じる。
そろそろヤバイか、と思っていると、不意に視界に、人影が映る。
「そこ・・・危ないよ」
「ココじゃなくても十分危ないと思うけどな・・・」
「わ、びっくり」
全然驚いてるように見えないって。
「アトミックバズーカが飛んでくるよ」
「早く言えっ!」
街中なのに、平気で核を使うのかよ! とも思ったが、そんなことを考えてる暇も無く、
無駄だと分っていても範囲から少しでも遠ざかろうと走り出す。
「逃げなくてもだいじょうぶだよ」
「へ?」
いきなり名雪に腕を掴まれて止められたので、変な格好のまま固まる。
「祐一、私から離れないでね」
普段は見せない真剣な顔でそう名雪は言った。
場違いな上にそんな場合ではないが、俺は不覚にもチョット良いなぁ・・・とか思ってしまった。
「A.Tフィールド全開!」
そんな俺の気分を一瞬でお空の彼方へと吹き飛ばす言葉が、名雪の口から放たれた。
名雪の言葉と同時に、眼目に真紅の壁が現れる。いや、前だけではなかった。
上下左右、後ろにも真紅の壁が出現し、箱となって俺と名雪を包み込む。
肉眼で確認できる上に血のように濃い紅い色、凄まじい出力なんだろうが・・・
「名雪! そんなんで防げるのかよっ!」
と言ったと同時に、Mk82レーザー核融合弾が、未だ戦いを続ける人だかりの中心に向かって飛んでいき、光となった。
瞼を閉じていてもそれを突き破ってきそうな眩い閃光、そして核の超々高温の轟炎が一帯に広がる。
「くっ!」
俺は死を覚悟したが、いくら待っても核の轟炎が来る気配がない。
「あれ?」
「だからだいじょうぶだって、言ったでしょ♪」
生きてるのを不思議に思ってると、名雪が得意満面の笑みで声を上げる。
「にしても、核の直撃を喰らってなんともないとはなぁ・・・」
衝撃はともかく、熱までも完全にシャットアウトしたのは驚きだ。
核は悪魔の兵器の異名の通り、人類の作り出した最大最凶の兵器なのだ。
核融合の豊富過ぎるエネルギーは焦点温度2億度という言語を絶する超々高温を叩き出す。正にミニ太陽だ。
俺達が居たのはゼロエリアではないとはいえ、ほとんど目と鼻の先で炸裂したのだ。
襲ってきた轟炎の温度は数百万度はくだらないはずだ。
それなのにA.Tフィールド内の温度はまったく上昇せず、快適極楽な適温のままなのだ。
一体どれほどの出力で展開されたA.Tフィールドなのだろうか・・・
「わたし強くなったもん。戦闘力数値にすると、軽く10億くらいかな?」
「フリーザ様デコピン一発!?」
俺の敬愛するフリーザ様をゴミかクズ扱いする言語道断の戦闘力に思わず嘆く。
母さん・・・俺の恋人はたったの1ヶ月で宇宙最強になりました・・・
多分スーパーな猿野郎も鼻くそ同然でしょう。
「で、なんでまた遅れた?」
まあ、それはさて置いて置くとして、また待ち合わせに遅れ、俺の命を危険でピンチな状況にさらした原因を尋ねる。
会って最初に言おうとしたことだが、核融合弾が飛んできたせいで、機会を失ってしまったのだ。
「ごめんね、急いだんだけど・・・色々邪魔が入っちゃって、片っ端から倒してたら、時間掛かっちゃった」
てへっと、付け加える。むう、可愛い、これじゃ怒るに怒れん。思わず「許す」とか1秒で言ってしまいそうだ。
この恋人の事となるとかなり少しおかしくなる自分の思考回路に苦笑していると、ふと気づいたことが・・・
「ってことはだ・・・遠くから頻繁に聞こえてきた大きな爆発音は、全部おまえか?」
そう、俺が2時間待ってる間、名雪の家の方向から、デカイ爆発音が何度も轟いたのだ。
しかも段々爆発音が近づいてくるのだ。俺が死を覚悟した要因の一つである。
「うん。急いでたから、全部光にしちゃった♪」
またてへっと俺を狂わす照れたような微笑みを付け加える。
「ゴルディオンハンマーかよ!!」
本日もう何度目か分からない怒鳴り声を上げる。流石に今回はつっこまずにはいられなかった。
マヂで洒落にならん。そういえば爆発音だけでなく、何か粒子のような物が舞い上がっていたような。
「何人死んだと思ってるんだよっ」
「聞きたい? 昨日までの時点で99822人だよ」
「多すぎだっ!」
なんだか、頭が痛くなってきた。
恋人のあまりにもな変貌振りに、目頭まで熱くなってくる。
「とりあえず、今は早く家へ帰ろう。ココにいると、危険でしょうがない」
込み上げてきた感情を闇の底へ沈め、そう提案する。
名雪が居れば大丈夫な気がしたが、これ以上犠牲者が増えるのは防ぎたかった。
「そうだね、早く帰ろ」
そのへんのところを理解してるのかしてないのか、名雪は相変わらずマイペースだった。
街がこんなに変わってしまった訳は、家に着いてから聞くことにしよう。
そういえば・・・ほぼ街の中心地で核が炸裂したのに、周囲がガレキの山になる所か、
家一軒壊れた様子がなかったのは何故だ?
つづく
後書き
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うし、第1話改訂完了だ。 | |
へー、良かったね。っていうかそのアイコン何?
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この後書きの為にたったの30分で作ったふざけたアイコンさね。 | |
自分で言ってりゃ世話ないよ。
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ぐふ・・・ ま、まあともかくこれからの後書きは全部この形式に変更する 事にしたんでよろすく。 |
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ハイハイ・・・それじゃまたね。
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早!! |