わたしはナユちゃん!
第壱拾七話「死闘再び」
祐一「これで・・・ラストォォォォォォッ!!!」
最後に残った男子生徒を、ビームサーベルでメッタ斬りにして葬る。
前回も言ったが、名雪のドグマブラスターのおかげで、残った敵は少なかった。
国崎「よぉぉし、それまで!」
俺が最後の敵を倒した瞬間、体育教師の国崎が、終了の合図のホイッスルを吹く。
国崎「さて、では本日のメインイベントだ!」
祐一「へ?」
肩でゼーゼー息をしていた俺に、更なる残酷な仕打ちが・・・
国崎「男子代表相沢! 女子代表水瀬! 前へ出ろ!」
どうやら・・・最後まで生き残ったもの同士で、決勝をやるらしい。
渋々前に出て、名雪と対峙する。
祐一「おい、こんなの聞いてないぞ」
俺の台詞に、名雪が、へ? というような表情で首をかしげる。
名雪「言ってなかったっけ?」
聞いてないぞ。と言いたかったが、どうせ言っても無駄なので、今は息を整えることに集中する。
俺が息を整え終わると、何時の間にか、周りを脱落した生徒達が埋め尽くしていた。
しかもなにやら、俺と名雪のどっちが勝つか、トトカルチョまで行われているようだ。
国崎「水瀬が勝つ方に諭吉だ」
教師まで賭けている。この学校、相当ヤバイのかもしれない。
俺が心底脱力していると、斎藤が何か叫んでいる。
斎藤「相沢! 9:1で水瀬さんが圧倒的だ! 俺はお前に賭けてるんだからな。絶対勝てよ!」
むむ、思いっきり負けてるじゃないか・・・
こりゃ期待に応えて、なんとしてでも勝たなきゃな。
そして斎藤は後でシメる。
?「双方合意とみなしてよろしいですね?! では、史上最強の夫婦喧嘩、ロボトルファイッ!」
またわけのわからんオヤジが登場し、合図する。
しかも余計なお世話だ。おまけにロボトルってなんだよおい。
俺はすぐさまビームライフルを取り出すと、オヤジの脳天をブチ抜く。
祐一「いくぞ! 名雪!」
名雪「うん! 今度は手加減しないよ〜!」
俺と名雪は頷き合って戦闘を開始する。
開始早々、名雪がツインバスターライフルを取り出し、俺に向けて発射する。
だが、俺は一瞬でトールギスVのバーニアを背中に出し、その圧倒的推進力で回避する。
流石単独で大気圏を抜けられるほどのバーニア、さっきまで使っていたHiνのバーニアとは桁が違う。
名雪「うー、祐一速いよぉ」
名雪はぶつくさ言いながらも、背中にゼロカスタムのバーニアを出すと、俺の後を追って加速する。
が、そこはバーニアの性能差があるのか、名雪と俺の差は、どんどん広がる。
俺はある程度名雪と距離をとると、ハイパーメガライフルを取り出し、名雪の方向に急旋回する。
祐一「喰らえ!」
名雪に標準を合わせ、ハイパーメガライフルの引鉄を引く。
戦艦の主砲並のメガ粒子の奔流が、名雪を襲う。
名雪「えっ? きゃぁぁぁっ!?」
ドゴォォーーンッ!!
咄嗟のことで反応できなかったのか、名雪が正面からモロに喰らう。
周囲からおおっ!? っと歓声が上がる。
だが、爆発の噴煙の中から、名雪が飛び出す。
名雪「うー・・・祐一、昨日より全然強くなってるよ〜」
俺はちっ、と舌打ちする。
直撃させたはずだが、名雪は少し焦げた程度だった。
A・Tフィールド無しでも、6000の装甲は伊達ではないらしい。
名雪「今度はこっちの番だよ〜!」
ぷく〜っと頬を膨らませながら、名雪がそう宣言すると、名雪の背中に、デカイ何かが出現する。
名雪「いっけ〜! ファンネル〜!」
名雪の掛け声と共に、名雪の背中から、無数のファンネルが飛び出す。
しかも6機や8機じゃない。20機以上のファンネルが飛び出した。
祐一「くそっ、クインマンサのファンネルコンテナかよっ!」
誰に言うわけでもなく毒づく。
クインマンサのファンネルコンテナは、キュベレイの3倍のファンネルを搭載しているのである。
俺は巧みに分身などを使用し、20機以上のファンネルの攻撃を、ギリギリかわし続ける。
だが、それも長くは続かないだろう。
名雪の射撃は正確で、俺は逃げ場をどんどん失っていった。
名雪「これでトドメだよ〜!」
ファンネルの攻撃のみに気をとられていた俺は、名雪の手にあるものを見てギョっとする。
名雪が手に持っていたいたものは、HTBキャノン形態のR-GANパワードだった。
しかもエネルギーの充填はすでに完了しているらしく、銃口は淡く光を放っている。
名雪「天上天下一撃必殺砲、発射だよ〜っ!」
R-GANパワードから、途方もないエネルギーの奔流が撃ち出される。
ファンネルの攻撃によって、もはや身動きがとれなくなってしまった俺は、回避することが不可能だった。
祐一「くっそぉぉぉぉぉぉっ!!!」
グォォォォォォーーーーッ!!!
辺りに、目を開けていられないほどの閃光が走る。
少しして、閃光がおさまると、そこには・・・
名雪「うそ・・・」
こんな顔する名雪を見るのは、恐らく今回で2度目だろう。
その表情を表す言葉は、『愕然』
そう、名雪は、目の前の光景が信じられず、愕然としていた。
因みに、1度目は、言うまでも無く、秋子さんが事故にあったことを知らされた時だ。
祐一「ハアッハアッ・・・フフフ、なんとか耐えてやったぜ」
天上天下一撃必殺砲が放たれた瞬間、俺は回避は不可能と判断し、
自分の持てる全てのバリアー、
I・フィールド、A・Tフィールド、グラビティー・ウォール、念動フィールド、グラビティー・テリトリー、
イナーシャルキャンセラー、ピンポイントバリア、オーラバリア、その全てを、前面のみに多重展開したのだ。
ついでに、サイバリアと肉のカーテンも加えた。
が、それでも名雪の天上天下一撃必殺砲の威力は凄まじく、全てのバリアーを突破し、
俺に直接大ダメージを与えた。
だが、名雪には俺がこの攻撃耐えぬいたこと自体が、大きな精神的ショックになったようだ。
祐一「悪いな名雪。俺は防御力だけには自信があるんだ」
相変わらず愕然としている名雪に容赦無く言い放つ。
防御力に自信があるというのは嘘ではない。
実際俺の装甲は、名雪には及ばないまでも、5000以上あるのだ。
名雪「す、凄いね祐一。今まで私のこの攻撃を受けて、生きてた人はいないのに」
どうにか余裕を保とうとしているようだが、明らかに動揺が見て取れる。
名雪は、この攻撃に絶対の自信があったのだ。
ならば、ここで一気に勝負をかけるしかない。
祐一「これで終わりにするぞ! 名雪!」
宣言と同時に、俺は自分の身長の倍以上ある剣、斬艦刀を取り出す。
それを見た名雪の表情が、今度は余裕に満ちる。
名雪「ふ〜ん・・・祐一、資質が足りないのに、そんなので私に勝てると思ってるの?」
真剣勝負ゆえなのか、いつもの名雪の言動ではありえない台詞をはく。
祐一「確かに俺には、こいつの力を100%引き出す素質は無い。だが、俺にはこれがある!」
俺が斬艦刀に力を送ると、斬艦刀から青白いオーラが立ちこめる。
名雪「まさか祐一、聖戦士だったの!?」
名雪の顔が、今度は驚愕に歪む。
これは俺の奥の手だった。
俺には斬艦刀を100%扱うだけの素質は無い。
だが、オーラ力を使い、斬艦刀を強化することで、通常の斬艦刀以上の威力に出来る。
祐一「これで、終わりだぁぁぁぁっ!!!」
トールギスVのバーニアを限界までふかし、一気に名雪の懐に飛びこむ。
名雪「ひっ」
名雪の顔が今度は絶望の色に染まる。
これから自分の身になにが起こるのか、理解しているのだ。
祐一「斬艦刀! ハイパァァァァァァッ オォォォラッ 斬りぃっ!!!」
名雪を上半身と下半身に分断するかの如く・・・
ピタッ!
祐一「な〜んて・・・なっ♪」
名雪「・・・・・えっ?」
名雪の体を、上半身と下半身に分断するはずだった攻撃は、名雪の腹部の1cm手前で止まっていた。
俗に言う寸止めである。
名雪「えっ? えっ? えぇっ?」
「名雪は混乱した」っとナレーションが入りそうなほどに、名雪はパニくっていた。
自分がなんで生きているのかが不思議なだろう。
俺は、そんな名雪の頭に、ポンっと手をおく。
名雪「えっ? あ、祐一? 私、なんで生きてるの?」
正気には戻ったものの、まだ状況が掴めていないらしく、しきりに辺りをキョロキョロ首を動かしている。
俺は頭においた手を動かし、名雪の頭を撫でる。
祐一「馬鹿言うな。俺が本気で名雪を殺すわけないだろ」
名雪は、目を細めて、くすぐったそうにしながらも、されるがままだ。
しかも頬を赤く染めているので、可愛いことこの上ない。
ここが学校でなければ、襲っていただろう。
国崎「えっ・・と・・・・・しょ、勝者! 相沢祐一!!」
しばし呆気にとられていた国崎が、高らかに勝者である俺の名を叫ぶ。
と同時に、周りから大きな歓声と拍手が巻き上がった。
つづく
後書き
「わたしはナユちゃん!」第壱拾七話をお届しました♪
う〜む・・・少し祐一を強くしすぎたかも・・・
名雪「私・・・祐一に負けちゃったよ・・・」
まあ、主人公が負け続けるわけにはいかないしね。
途中から、完全にギャグを捨ててシリアスに移行したし。
名雪「でも・・・負けた相手が祐一なら、文句はないよ」
そう言ってもらえると嬉しいね。
名雪「次からは、また元のギャグに戻るの?」
うむ、そうなるね。
ってことで、また次回お会いしましょ〜
名雪「またね〜♪」
捕捉:この話しは、委員会1・2の間に起こっていた話です。