名雪「祐一。風が気持ちいいよ〜」

名雪が戦車のハッチから上半身を乗りだし、風に当たっている。

祐一「そうだな」

俺達は、街で船をレンタルして、川を遡ったところにある湖を目指していた。
もちろん、ナマズンゴをシバきに行くためである。
恥じをかかせてくれたお礼。たっぷりしてやらねば・・・

名雪「って、祐一。そこだと風なんか入っていかないよ〜」

名雪が俺の適当な相槌に気付いた。

そう、俺はハッチを開けて風に当たっている名雪と違って、
風も入ってこない戦車の中枢、操縦席にいるのだ。
船の舵とCユニットを直結して、戦車の中から船を操っている。

祐一「そんなことないぞ。そこから風は入ってきてる」

俺は前に開いている小窓を指差す。
各部に取りつけてある、モニターのカメラが死んだ時の為のものだ。
苦し紛れではあったが、嘘ではない。入ってくる風は微々たるものだが。

祐一「それより注意しろよ。川だからってモンスターはお構いなしに襲ってくるからな」

名雪「わかってるよ〜・・・あっ!」


                はがね
メタルマックスカノン 〜鋼鉄の絆〜


第3回「逆恨みの仕返し」

名雪のゆっくりした口調が、急に緊迫したものに変わる。

祐一「どうしたっ!?」

名雪「えっと、前方・・・200mくらいかな? ワニさんがいるよ」

ワニ? ガソリンカイマンか!

祐一「名雪! 中に戻れ! いくぞ!」

名雪がハッチを閉める音を確認すると、カメラを前方に切り替えて目標を確認した。
間違い無い。ガソリンカイマンだ。
口から発射される火炎放射は強力だが、戦車なら恐れるに足りない。
口の中にホロチャージを一発撃ちこめばそれで終わりだ。

祐一「名雪! ホロチャージを一発装填。奴が口を開けた時を狙え!」

名雪「了解だよ〜」

名雪が返事をしたのを確認し、船のスピードを一気に上げる。
相手もこっちに気付いたのか、距離を詰めてきた。

刹那、水面が激しく揺らぎ、ガソリンカイマンが大きな口を開きながら、その巨体を表した。
くるっ!

祐一「! 名雪! 何かにつかまれ!」

注意を促しながら、操縦桿を激しくきる。

ゴォッ!!

瞬間、さっきまで俺達がいた場所を、炎がなぎ払っていた。
戦車だけならあえて喰らっても大丈夫だが、船がレンタルなだけにこんなやつ相手に無茶はできない。

祐一「今だ! 撃て!」

名雪「いくよーっ!」

一瞬にして名雪の砲塔の照準が奴を捉え、鋼鉄をも引き裂く砲弾を発射した。

ズガッ!

名雪の発射したホロチャージは、火炎放射直後で、硬直していた奴の口内を見事に捉えていた。
奴は胴体から先を吹き飛ばされ、血を吹き出しながら川の底へ沈んでいった。

祐一「お見事!」

名雪には見えないが、親指をグッ、と立てる。
名雪は「えへへ」っと終始ご満悦な様子だった。
この調子でいけば、本当に優秀な砲手に成長しそうだ。

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

祐一「さてと、こっからが本番だな」

湖に到着し、俺はさっそくソナーのスイッチを入れる。
ソナーも無しに湖や海のモンスターの捜索をするのは馬鹿のやることだ。
Cユニットのディスプレイの一部に、ソナーの画面が映った。

ここからは根気がいる作業だ。
隈なく湖全体を捜索しなければいけない。
相手が見つかるまで、しつこく探しまわるのだ。

名雪にはしばらく休んでおけと言っておき、船を走らせる。
一瞬でもソナーから目を離してはいけない。

その時、フッと、ソナーに大きな影が横切った跡が表示された。
運がいい。どうやら当たったようだ。
数日は覚悟していたが、実際はたったの1時間で見つけてしまったようだ。

祐一「名雪! 起きろ! 居たぞ!」

通信インカムに向かって力の限り叫ぶ。

名雪「うにゅ・・・もう見つけたの?」

名雪が眠そうな声を上げながら通信を返してきた。
寝ぼけ眼を擦りつつ、あくびをする姿が容易に想像できる。

祐一「ボーっとしてる暇はないぞ! 機雷を撃ちこめ! 3時の方角、距離450だ!」

寝ぼけ名雪に檄を飛ばし、的確に指示を出す。
名雪は「わかったお〜」と、寝ぼけた声で返事をしつつも、俺の言った通りの場所に機雷を撃ちこんだ。

バシャっと大きな水音がした後、水中で機雷が爆発し、水面に水柱が上がった。
と同時に、機雷攻撃に怒った大きな影が、水中から空中へ、巨体を舞わせた。
その姿を見た瞬間・・・俺と名雪はまたも吹き出し、笑い転げた。

祐一「ぶわっはっはっはっはっ! マジかよっ! マジであんな顔してたのかよーっ!」

名雪「あはははははっ! く、苦しいよ〜」

その隙を相手が逃すはずがなく、ナマズンゴは船に向かって強力な電撃を放った。
俺は笑いながらも、即座に電磁バリアを展開し、相手の電撃を防いだ。
電磁バリア。電気攻撃を防ぐ為の特殊装置である。

祐一「ひぃ、ひぃ。ヤバかったな・・・もしかして、あいつを見た時に、
笑い転げたからやられたハンターが多いんじゃないか?」

息を整えつつも、冷や汗が頬を伝った。
あの電撃をモロに喰らったらかなりヤバイ。
ユーモラスな外見に似合わず、強力な電気攻撃だった。
直接的なダメージは低かったが、衝撃はかなりのものだった。

名雪「はぁ、はぁ。落ちついてかからないとダメだね」

名雪も今の衝撃で正気に戻ったようだ。
それだけ奴の電撃の衝撃が凄まじかったってことだ。

気を取りなおして奴と向かい合う。
一見すれば爆笑ものの外見だが、一度あの電撃を喰らえば、頭も冷める。
電磁バリアがなければ、かなりのダメージを負っていた。

ハンターオフィスで見た奴の詳細に、電気攻撃が強力。
と書いてあったので、一応用意してきたのだ。

名雪「祐一。どうするの?」

両者とも、対峙しあったまま、動けずにいた。
あの電撃を何発も喰らえば、電磁バリアのある戦車は平気でも、船が持たない。
一応対モンスター戦用に、装甲は厚くしてあるが。

が、俺には秘策があった。

祐一「名雪。俺がこれからマニアックシェフを発射するから、
着弾と同時に、ありったけの鉄鋼弾とホロチャージを叩きこめ」

名雪「えっ? マニアックシェフで効果あるの?」

俺のマニアックシェフという言葉に、名雪が疑問の声を上げる。
が、今はそんなことを説明している暇はない。

祐一「いいから俺を信じろ! お前は奴に主砲を撃ちこむだけでいい!」

そう会話を強制的に終わらせると、相手が先に動いた。
さっきと同じ電撃攻撃だった。
俺は構わずマニアックシェフの炸裂弾を全て発射する。

ババババババババシュッバシュッバシュッ!

大量の炸裂弾が上空に向かって発射され、ナマズンゴの直上に降り注いだ。
炸裂弾は着弾と同時に破裂、爆発し、ナマズンゴは爆発の煙に包まれた。

祐一「いけーーっ!!」

ドガッ! ドガッ! ドガッ! ドガッ! ドガッ!

俺の合図を皮切に、名雪がまだマニアックシェフの着弾の煙が晴れぬ場所、
ナマズンゴのいるであろう場所に向かって、鉄鋼弾とホロチャージを撃ちまくる。

しばらくして、奴を包み込んでいた煙が晴れる。
すると・・・

名雪「ええっ!? 凍ってるの・・・?」

名雪が奴の姿を確認すると同時に、驚愕の声を上げた。
ピシピシと、氷が割れる時の独特の音を発しつつ、砕け散った氷に閉じ込められた
ナマズンゴの、変わり果てた姿がそこにあった。

祐一「ふぅ・・・マニアックシェフに冷凍弾つめといてよかったぜ」

そう。俺はマニアックシェフに液体窒素が詰った冷凍弾を装填してきたのだ。
俺の秘策。それは相手に多量の冷凍弾を浴びせ、氷漬けになったところを鉄鋼弾やホロチャージなどの、
貫通力が高い砲弾でバラバラにすることだった。
水中の敵に対しては、かなり有効な戦法だ。

名雪「祐一、何時の間に冷凍弾なんて入れてたの?」

祐一「ああ、今日出発前、名雪を起こす前に代えといたんだ」

俺がそう言うと、名雪は「なんで私に教えてくれなかったの〜」とむくれてしまった。
その後俺は、必死に名雪の機嫌をとるはめになり、またイチゴサンデーをおごることになった・・・

続く・・・

 



後書き

メタルマックスカノン。第3回です!

『なんで(私・ぼく・あたし)達は出てこない(の!?・いんですか!?・のよ!)』

ごわーーっ!?
な、なんだいきなり!?


香里「どうしてあたし達がまったく出てこないのよ!」

い、いやそれは・・・

栞「どうしてですか!」

あゆ「名雪さんばっかりズルイよ!」

真琴「あうーっ! 私やあゆあゆなんてどのSSでも扱いが酷いじゃないっ!」

あ〜もう・・・落ちつけぇぇいっ!!!

あゆ「うぐぅ・・・筆者さん怖いよ・・・」

はぁはぁはぁ・・・いいか・・・落ちつけ。
いいか? このSSはな、基本的には祐一と名雪の2人旅なんだよ・・・
後から全員合流させるつもりではいるが・・・

栞「筆者さん水瀬先輩ばっかりヒイキしすぎですっ!」

美汐「そんな酷なことはないでしょう・・・」

仕方ないだろう。諦めんしゃい・・・

秋子「あら? 私の出番も無いのかしら?」

ビクッ!
あ・・・あの、秋子しゃん?
その・・・立ちこめてる黄金のオーラはなんでしょうか?

秋子「なんでもないですよ。ただ・・・筆者さんにお灸を据えておく必要があると思いまして・・・」

い、いやぁぁぁぁっ!!

香里「逃がさないわよっ!」

ぎゃわぁぁぁぁっ!!

あゆ「逃がさないよっ!」

真琴「許さないんだからぁっ!」

栞「ダメです! 逃がしません!」

美汐「無駄な抵抗はしないほうがいいですよ・・・」

佐祐理「あはは〜っ。舞、逃がしたらダメですよ〜」

舞「・・・斬る!」

・・・・・・・・・・・好きにして・・・(がく

舞「はちみつクマさん。悪夢の王の一欠けよ 空の戒め解き放たれし 凍れる黒き虚ろの刃よ・・・

ああ・・・俺は・・・死ぬのか?

香里「北斗・百烈拳!!

栞「マイクロウェーブ、きますっ!

あゆ「任務、了解だよっ!

真琴「喰らいなさい! 風華円舞陣!!

美汐「増幅チップ、射出です!

佐祐理「あはは〜っ♪ 汝、その諷意なる封印の中で安息を得るでしょう・・・

秋子「滅殺です♪

北川「俺のこの手が真っ赤に燃える! お前を倒せと轟き叫ぶ!」

北川っ!? キサマどっから湧いて出た!

舞「
我が力我が身となりて 共に滅びの道を歩まん 神々の魂さえも打ち砕き ラグナ・ブレード!!

香里「北斗神拳は・・・無敵よ

栞「ツインサテライトキャノン! 発射ですっ!

あゆ「ツインバスターライフルだよっ!

真琴「綺麗な薔薇には、棘があるのよっ!

美汐「プラズマブラスト・・・発射!

佐祐理「永遠に・・・儚く! セレスティアルスターッ!!

秋子「・・・(背中に『神』の文字)」

北川「爆熱! ゴッド・フィンガァァァァァッ!!」

その後・・・筆者の姿を見た者はいない・・・

PS.これは行数稼ぎではありません。ええ、決して行数稼ぎではないです。ただのネタです(爆
今回ばっかりは1行空けないわけにはいきませんでした。空けないと見づらくなること必死です。

PS2.こんなとこでネタ使ってどうすんだよヲレ・・・