「初めまして・・・いえ、お久しぶりと言うべきかしらね?

 国連極東方面軍総司令兼特務機関フォスファル総司令、神乃ユイナです。

 この度は初号機、零号機の売却。そして零号機パイロット、綾波レイの移籍を承認していただき、

 ありがとうございます。こちらが売却、及び移籍に関する書類になります」


ニッコリと笑顔を浮かべつつ、勤めて事務的な事を述べ、書類をゲンドウに差し出す。

冬月はその笑顔に毒気を抜かれるが、ゲンドウはその笑顔を見て、机の下の下半身を震わせていた。

ユイナは内心必死にゲンドウと冬月を殺したくなる衝動を堪え、殺気も強引に抑え込んでいた。

それでも抑え切れない殺気は全てピンポイントでゲンドウのみに向けられていた。

その為冬月にはただの笑顔にしか見えなかったのだ。

だが斜め後ろに立つシンジにはそんな内心もモロバレであり、シンジは人知れず背中に冷や汗をかいていた。

後にシンジはその時のユイナの様子をこう語る。

「いつ髭と電柱の首が飛ぶかとヒヤヒヤしたよ。生きた心地がまったくしないし、

 あの絶対零度の笑顔はもう見たくないね」


「あ、いえいえ。態々お越しいただき、ありがとうございます」


差し出された書類をゲンドウがいつまで経っても受け取らないので、

冬月が代わりに受け取り、礼を述べる。


「それではわたし達はこれから初号機と零号機の搬入作業がありますので、これで失礼させていただきます」


そう言ってユイナはクルリと振り向いて立ち去り、少し遅れてシンジは頭を下げ、司令公務室を後にした












新世紀エヴァンゲリオン
〜終りの始まり


CHAPTER.4

ガンダムマニアに花束を・・・




















「や〜・・・危ない危ない。もう少しで髭を殺しちゃうとこだったわ」

「ユイナ姉さんは髭の顔を見るといつも殺気バリバリだからねぇ」


ネルフ内の廊下を歩きつつ、会話を交わす二人。

話題はさっきの司令公務室での出来事のようだ。


「わたしはシンよりはマシよ〜。シンは抑えても常人が気絶する程の殺気を撒き散らすんだから」

「だから師匠じゃなくてユイナ姉さんが軍関係なんだね・・・」


姉がそんな理由で特務機関の司令になった事を悟り、深い深い溜息をつくシンジ。

初号機ケイジに向かいつつ暢気に雑談しながら闊歩していると、前から女性が歩いて来る。

前から来た女性はユイナとシンジを見ると、二人の前に立ち塞がり、


「あなた達、見かけない顔だけどココで何やってるの? ココは関係者以外立ち入り禁止よ」



と、そうのたまった。


「「はぁ?」」


ユイナとシンジの二人は見事にハモって答えた。

もちろんそんな事をのたまったのはネルフが誇るビア樽、牛、無能こと葛城ミサトだった。


「(えっと。ユイナ姉さんって、あんまり有名じゃないのかな?)」

「(牛が無能なだけよ。書類を読まないのはいつもの事として、似非金髪から聞いてないのかしら)」

「ちょっと、答えなさいよ」


自分を無視し、耳に口を寄せ合いヒソヒソと話しをしている二人に苛立ち、口調が強くなる。


「・・・本当に知らないの?」

「何をよ! 質問しているのはこっちよ! さっさと答えなさい!」


ユイナがそう心底呆れた表情と声で言ったので、ミサトのただでさえ短い堪忍袋の緒が切れた。


「国連極東方面軍総司令官兼国連所属特務機関フォスファル総司令官、神乃ユイナ元帥です」

「同じく特務機関フォスファル作戦部作戦部長兼パイロットの神乃シンジ大佐です」

「なっ!?」


自分が対峙し、道を塞いでいた相手が決して逆らってはいけない相手だと知り、瞬時に青褪めるミサト。


「特務機関ネルフ作戦部作戦部長葛城ミサト一尉」

「は、はい!」


ユイナがポツリとミサトの所属と階級を挙げると、ミサトは直立不動の敬礼をし、上ずった声で答えた。


「無能はどこにも置くつもりはないわ。以後気を付けなさい」

「はっ! 申し訳ありません!」

「では、わたしはこれで」


立ち去ろうとするユイナにミサトは再度敬礼し、ユイナの姿が廊下から消えるまでそれを続けていた。


「「・・・プ、あっはっはっはっはっ!」」


二人はミサトが見えなくなると突然笑い出し、シンジに到っては腹を抱えて笑っている。


「見た見た!? 牛のあの顔! 怒って真っ赤になったと思ったら急に青褪めるなんて・・・あははははっ!」

「見た! 見た! あははははっ! 無能だよ! 無能すぎるよ!

 ユイナ姉さん切っちゃおうよアレ! あははっ!」

「ダメよ。もっともっと楽しまなくっちゃ! でも、牛の生殺与奪権があるってのも悪くないわね〜。あははははっ」


二人はひとしきり笑うと何事も無かったかのようにまた初号機ケイジに向かって歩き出した。










その頃、大失態をしでかした牛、葛城ミサトはというと・・・


「は? 首になりそう? あなた今度は何をしでかしたのよ?」

「うう・・・さっきそこで見かけない顔の二人組みを見つけたから、呼び止めたらそれが

 極東方面軍の総司令だったのよ〜・・・」


親友の似非金髪猫マニアMAD、赤木リツコに泣き付いていた。


「・・・ぶ、無様すぎるわね」

「そ、そんなー」


ミサトのマヌケすぎる失態にこめかみを押さえ、後頭部にタラーっと大きな汗を流すリツコ。


「大体、なんであなた極東方面軍総司令の顔を知らないのよ?

 書類もあるはずだし、新聞やテレビのニュースで散々報じられてたでしょ。

 最年少の、しかも初の女性元帥誕生って」

「そ、その頃は、その・・・ちょっち、色々あって・・・あはは」


「あ、あなたねぇ・・・」


ミサトの馬鹿さ加減に再び頭痛を覚えたリツコは、自分の机を漁り頭痛薬を探す。

と、ふと何かに気付いたリツコが頭痛薬を探す手の動きを止める。


「って、今あなたさっきそこで元帥に会ったって言ったわよね!?」

「え、ええそうよ」


いきなり食いつかんばかりに詰め寄るリツコに少々引きながらも肯定するミサト。


「・・・なんで今ここに極東方面軍の総司令が居るのかしら・・・」

「さ、さぁ〜・・・」

「ネルフに何の用があるのかしら・・・国連としても用があるとは思えないし、

 フォスファルとしてならウチはある意味敵対組織のはず・・・」

「っ!?」


急に思案顔になって思考を廻らせるリツコ。

だがミサトはリツコが呟いた台詞に激しく動揺し、座っていた椅子を蹴って立ち上がる。


「ちょ、ちょっと待ってリツコ! 極東方面軍総司令って、あのフォスファルの総司令でもあるわけ!?」

「ミサト。あなたどこまでマヌケなの? そんな事当たり前でしょう」


どうやらミサトには先ほどユイナが名乗った時に言った、

フォスファル総司令という単語は聞こえていなかったらしい。

リツコはそんなミサトに何を馬鹿な事をと切って捨てる。


「フォスファルがウチに何の用があるってのよっ!?」

「それを今考えているんでしょう・・・あなた少しは人の話しを聞きなさい!」


フォスファルと聞いて激怒したミサトを、頭痛がする頭を押さえて怒鳴りつけるリツコ。


「で、元帥はどこに向かってたの?」


怒鳴りつけて大人しくなったミサトに問う。


「えーっと・・・確か、初号機ケイジの方向だったような・・・」

「初号機ケイジ・・・急いで行ってみましょ」

「え、り、リツコ? ちょ、ちょっと待ってよ〜」


ミサトの答えを聞き出したリツコは少し思案した後、突然立ち上がって走り出した。

リツコの唐突な行動に呆気に取られながらも、追って走り出すミサト。











「フフ・・・久しぶりね。お母さん、いえ・・・碇ユイ!」


初号機ケイジに辿り着いたユイナは、憎しみに満ちた眼で初号機を見上げ、睨み付けた。

シンジも憎しみとまではいかないが、冷たい瞳で初号機を見つめていた。


「これがユイナ姉さんに地獄を味合わせた母さん。碇ユイの入ってる初号機なんだね?」


訂正、冷たいではなく怒りに燃えた瞳であった。


「そうよ。身勝手なエゴをわたしに押し付け、地獄を見せてくれたわ」


底冷えするような声で語るユイナ、シンジは戦慄し、ブルっと身震いをした。


「で、どうするの? サルベージしてすぐ殺す?」

「それじゃつまんないわ。たっぷりと恐怖と絶望を、生き地獄を味わってもらうわ

 それに、あの女が苦しめばそれは髭の苦しみにもなる。一石二鳥ね」


ユイナが心底面白そうに、楽しそうに、邪悪にニヤリと笑う。


「それじゃあ、髭の目の前で犯す? 僕はあんな女犯したくないけど」


顎に手を当てて何か考えていたシンジがとんでもない事を言い出す。


「ちょっとヌルイわね。それにシンも嫌がるわね絶対。

 そだ、前に創ったエスタ兵数体で輪姦しちゃいましょ。サイボーグなら疲れを知らないし、

 専用にチューンナップしてあげるわ」

「う〜わ〜・・・それ極悪で鬼畜だよ姉さん」


だがユイナは更にとんでもない事を言い出し、名案とばかりに手をポンと叩いた。

シンジも口では非難しているが、内心は大賛成だった。


「それじゃそれでけってー。さっさと初号機運んじゃいましょ。

 レイも迎えにいかなきゃいけないんだし」

「そうだね。それじゃ誰かに「元帥!」って、ん?」


突然初号機ケイジに現れたリツコがシンジの言葉を遮る。


「はぁ・・・はぁ・・・じ、神乃元帥。初号機を運ぶとは、どういう意味でしょうか?

 はぁはぁ・・・それと、レイを迎えにとは?」


走った事で乱れた息を整えながらもしっかりと要点の説明を求める。

どうやら駆け込んで来た時に先ほどのユイナの声が聞こえたようだ。


「さっき書類を届けたばかりだからまだ聞いてないようね。いいわ、説明してあげる」


と言った途端、ユイナは白衣を着込み、メガネまでかけた。


「ん〜・・・やっぱめんどくさい。簡単に要点だけ言うわね」

「ね、姉さん。それはないんじゃないかな・・・」


ホワイトボードまで持ち出した時点でいきなり白衣を脱ぎ捨てメガネも投げ捨てる。

それを見たシンジが盛大にずっこける。倒れつつもツッコミを忘れないのは流石か。

リツコは展開に付いていけないようで目が点になっている。


「どうでもいいじゃないそんな事。まあ要するに、

 初号機と零号機をウチで買い取って、零号機の専属パイロットである

 ファーストチルドレン。綾波レイのウチへの移籍も要請したのよ」

「な、「なんですってーっ!!」ミサト?」


今度はリツコの台詞を駆け込んできたミサトが遮った。


「どういうことよ! 初号機と零号機、それにレイまであんた達に渡すなんて!」


軍人上がりのミサトにとってこの程度の全力疾走はどうと言う事はないらしく、

息を切らさず、ユイナを睨んで喚き散らす。


「葛城一尉。それが上官に対する態度なの?」

「はっ! 申し訳ありません! ですが・・・どういう事なのでしょうか?」


ミサトは自分が言った事に気付き、青くなって言い直す。


「どういう事もなにも、役立たずにやる物は無いという事よ。

 維持費、修理費に莫大なお金がかかる物を

 2機も大破させといて結果を上げられないんじゃねぇ。

 徴発でもよかったんだけど、それじゃ可哀相だから買い取ってあげたのよ」

「う"・・・」


痛いところを突かれ言葉に詰まるミサト。

リツコはミサトの横でこめかみを押さえている。

「無様ね」と言いたいらしい。


「し、しかし・・・フォスファルには既に決戦兵器が・・・」

「! 神乃元帥! あの兵器についていくつか質問よろしいでしょうか?」


ミサトがフォスファルの決戦兵器と言った事でナイチンゲールの事を思い出し、

MAD魂とガンオタ魂を全開にし、目をギラギラさせて問いかける。


「赤木博士。あなたも日本のロボットマニア魂の血を引く科学者なら知っているでしょう?」

「じゃ、じゃああれは! ほ、本当に・・・本物のナイチンゲールなんですか!?」

「ええ・・・そうよ。わたしが造ったわ」


ユイナの肯定の言葉を聞いた瞬間、リツコは大きく目を見開き、涙を流した。


「カラーリングはわたしの好みで白銀だけど、メガビームライフルも!

 ビームサーベルも! そしてファンネルも搭載しているわ!

 もちろんサイコミュにサイコフレームも搭載してるわよ!」

「す・・・素晴らしいわ・・・最高です。神乃元帥」


どうよ! とばかりに熱く語るユイナにリツコは涙をハラハラと流しながら聞き入り、

シンジも同じく涙を流しつつウンウンと肯いている。

そんな三人にミサトは力一杯引いて顔を引き攣らせている。


「詳しいスペック
は機密だから言えないけどね〜」


リツコには言えないが読者の方の為に説明せねばなるまい!

分りやすくスパロボ風に紹介しよう!


ナイチンゲール(ユイナカスタム)

HP:600000 EN:500(∞) 装甲値:8000 運動性:300(800) 限界反応:∞

パーツスロット2:サイコフレーム バイオセンサー

サイズ:M 移動タイプ:空陸 移動力:10 地形適応:SSSS

特殊:I・フィールド サイバリア 移相反転フィールド 分身 (A.T.フィールド)

サーベル:あり シールド:あり (HP回復大 EN回復大)

動力:小型S2機関×2 縮退炉 装甲:オリハルコン 推進剤:サイエネルギー プラーナ

()内はS2機関作動時の能力。

武装
タイプ
攻撃力
射程
CT
弾数
EN
気力
地形適応
バルカン
射撃P
2500
1〜2
50
SSSS
ビームサーベル
格闘P
3800
1〜2
+15
SSSS
大型ビームサーベル
格闘P
4600
1〜2
+20
5
SSSS
ギガビームライフル
射撃B・P
4600
2〜7
+30
10
SS−S
ギガ粒子砲
射撃B
5000
2〜8
+20
15
SS−S
ビームサーベル乱舞
格闘P
5800
1〜3
+30
20
SSSS
五段突き
格闘P
6500
1〜2
+50
20
100
SSSS
ファンネル
射撃
7000
2〜12
+40
30
105
SSAS
サイファンネル
射撃
7800
2〜13
+40
110
SSSS
地ずり残月
格闘P
8000
1〜4
+50
30
115
−SS−
乱れ雪月花
格闘P
8500
1〜3
+50
35
120
SSSS
テラ粒子砲
射撃B
9000
1〜7
+45
50
SSSS
プラズマブラスト
射撃
9600
2〜14
+40
130
SSSS
無限の位
格闘特殊
9999
特殊
100%
120
SSSS
女王乱舞
格闘P
19998
2〜6
+99
80
140
SSSS



小型とはいえS2機関を2個搭載する事により無限の再生力とエネルギーを得、

とてつもない機動性も持ち合わせている。だが通常時は能力を抑える為にサブの縮退炉を使用している。

装甲に超金属のオリハルコンを使用する事で絶大な防御力を誇り、

オリハルコンは精神感応金属でもある為、ニュータイプ能力、サイエネルギー、プラーナ

の伝達率を数倍にまで高めてくれる。

操作システムは改良を加えたモビルトレースシステムをしている。

モビルトレースシステムの採用理由は、達人になればなるほど、頭で考えるより先に身体が動くから。である。

その上で改良点として、バーニアなどの制御の為に脳波制御システムも組み込まれている。

モビルトレースシステムは通常の操縦システム等より、スペースを余計に取るが、

圧縮空間を使用している為スペースは少なく済み、更には圧縮空間という事を利用し、

居住スペースまで付いているという至れり尽くせりなMSに仕上がっている。

武装についても解説せねばなるまい。


「ビームサーベル・大型ビームサーベル・ギガビームライフル・ギガ粒子砲・テラ粒子砲」

メガ粒子があるのだからその上のギガやテラがあってもいいんじゃないかという理由の元、

神の力という言語道断のご都合主義能力によって作り出された新粒子。

威力は同じ大きさのメガ粒子兵器の約千倍を誇り、テラ粒子は約百万倍である。


「五段突き」

大型ビームサーベルで眉間、喉、胸、両肩の五箇所を瞬時に突く強力な剣技。


「地ずり残月」

大型ビームサーベルを地面に突き立て、サーベルを通し地面にサイエネルギーを蓄積させ、

そのまま相手に接近、地面からサーベルを斬り上げると同時にサイエネルギーを爆発させ、

爆発したサイエネルギーに翻弄される敵に斬撃を浴びせる回避困難な剣技の奥義。


「乱れ雪月花」

大型ビームサーベルを使用し、降り積もる雪の様に静かに斬り下ろし、

月を描く様に袈裟懸けに斬り付け、花びらを舞い散らせるかの如く華麗に胴を払う。

日本の美の三要素を集結した恐ろしくも美しい剣の究極奥義。無論威力は絶大。


「無限の位」

柳生新影流秘伝の奥義。相手が格闘武器を持って襲い掛かって来た時のみに

使用可能なカウンター技である。相手の目、手、足全ての動作から相手の攻撃

を予測し、相手が攻撃を繰り出す前に振り上げ、その目標を相手の切っ先一点に集中し、

渾身の力を込めて、振り下ろす。相手の武器を弾き飛ばし、無防備となった相手を

斬りつける為威力は絶大。相手が完全に無防備である為、

防御力無視な上、必ずクリティカルヒットする。


「サイファンネル」

通常はギガ粒子を撃ち出すファンネルからサイブラスターを撃ち出させる。

サイエネルギーを使用するので、本来とは違い機体のエネルギーは一切必要としない。

その代わりパイロットからのサイエネルギー供給が必要な為、パイロットの負担が大きい。


「プラズマブラスト」

射出したファンネル1機1機から強力無比なプラズマブラストを撃ち出す必殺技。

非常に強力な兵器ではあるが、サイエネルギーの消費が半端ではなく、

普通の人間がこれを使うとほぼ間違い無く死亡する。


「女王乱舞」

ファンネルプラズマブラストを射出し、ギガビームライフルを乱射しつつ接近、

大型ビームサーベルで連続攻撃後、乱れ雪月花へと繋ぎ、零距離テラ粒子砲で止めを刺す。

女王が舞うかの様に美しく華麗ながらも、恐ろしい攻撃力をもった究極の超連続多段攻撃である。


見た目はただのナイチンゲールだが中身は相当に化け物な機体である。

ただ、サイシステムを搭載し、推進剤や兵器にもサイエネルギーを必要とする為、

常人には到底扱える代物ではない。


「自分で作っといて言うのもナンだけど、出鱈目過ぎよね」

「僕のや師匠のより強いよね」

「えっと・・・なにがでしょうか?」


ナイチンゲールの詳細スペックを思い返していた二人に、リツコは困惑顔で問いかける。


「え、ああなんでもないわ。葛城一尉の質問についてだけど、駒は多いに越した事はないでしょ。

 兵法の基本は数よ。それくらい分っているでしょう?



リツコの言葉に現実の世界に復帰したユイナは、ミサトの質問に的確に答える。

兵法としてあまりに当たり前な答えを言われたミサトは、ただ口を紡ぐしかない。


「それじゃ、まずは初号機から運ばせてもらうわね」


もう何も言える事はないわね。とユイナが初号機の運び出しを宣言する。


「運ぶと言っても、ココからジオフロント内に射出してくれるだけでいいわ。後はこっちで回収するから」

「了解しました。初号機をジオフロント内に射出します」


ミサトがユイナの命令を復唱すると、途端にケイジ内が騒がしくなり、

初号機の安全装置が次々と外されていく。

ユイナはそれを確認すると、携帯を取り出し、何処かへかけた。


「あ、もしもし? 私よ。今から初号機が上に出るから回収しといてくれる?

 そうそう。牽引レーザー使って格納庫に入れといて。

 あ、後から零号機も出ると思うからそっちもお願いね」


伝えたい事を伝え終えると、携帯を切り、ミサトとリツコの方へ向き直る。


「零号機も同じ様にジオフロントに出しといてね。では、ご協力ありがとうございました♪」


サラリと零号機射出の命令を出し、ニッコリ笑顔で礼を言って立ち去るユイナ。

シンジはそんなユイナに何故か口元を手で覆い、焦って後に続く。












「ぷ・・・プププ・・・ね、姉さん。さっきのって、ププ・・・やっぱりアレかな?」

「もちろん。わたしは徴発じゃなくて買い取りだけど、シチュエーションはアレとそっくりだったから。

 やらなきゃ損でしょ」

「あはは。あの時の牛とMADの顔最高だったよ」


口元から手を離し、プププっと吹き出すシンジに、ユイナはフフっと笑って答える。

お気づきの方も居るかもしれないが、ここで言うアレとは、

ミサトが戦自研からプロトタイプのポジトロンライフルを徴発した時の出来事である。


「綾波さんはブリーフィングルームだっけ?」

「ええ、そこで待ち合わせしてるわ」


二人は待ち合わせの場所を確認すると、雑談をしながらブリーフィングルームに向かった。









「・・・・・・」


無言でブリーフィングルームの椅子に座ってユイナとシンジを待つレイ。

いつもはまったく崩れる事が無い鉄面皮も、今は心なしかそわそわしているように見える。


「・・・・・・!」


少しして本格的にそわそわし始めたレイは、何かを感じ取ったのか入り口のドアの方に視線を向けた。


「やっほー。レイ、迎えに来たわよ」


ブリーフィングルーム入り口の自動ドアがプシュっと圧縮された空気を吐き出し、ドアを開けると、

ひょこっとユイナが顔を出した。


「待ってたわ。直接会うのは久しぶりね」

「そうね〜。もう何年ぶりかしら。ごめんね〜、中々迎えにこれなくて。

 髭が凄くしつこかったのよ。でも、これでもう髭の相手なんかしなくてもいいわ」

「髭の相手は、もう嫌」


ユイナが顔を出した途端、レイの顔がパァっと明るくなったが、

髭の話しになると、表情を心底暗い物に変える。


「髭を殺したくなる衝動を抑えるのにはわたしも苦労するわ〜。

 あ、そうそう。ちょっと遅れたけど紹介するわね。コレがこっちの世界のシンジよ」

「ユイナ姉さん。コレは酷いんじゃないかな〜」


ずっと扉の外で待っていたのか、待ちくたびれた表情でシンジが入ってくる。

コレ呼ばわりされた怒気も少し含まれているようだが。

ユイナはむくれたシンジに「ごめんごめん」と悪びる事なく謝るが、

シンジは「はぁ・・・」と溜息をついてレイの前に立ち、自己紹介を始めた。


「初めまして、って言うのも変かな。神乃シンジです。

 えっと、綾波さんでいいのかな? それともレイ姉さんって呼んだ方がいい?」

「お姉さん?」

「ああ、シンジにはわたしの記憶を受け継がせてあるわ。

 その上で完全な第18使徒、リリンの能力もあるから、第2使徒リリスであるレイはお姉さんに当たるのよ」

「そうなの・・・」


姉と呼ばれて困惑顔になったレイは、ユイナの説明によって納得した。


「さって、初号機に零号機も手に入って、レイの移籍も終ったし、長居は無用ね。

 さっさとこんなモグラの巣からはオサラバしましょ」

「そうね・・・私も早く妹達に会いたいし」

「外見はレイ姉さんの方が年下に見える姉さんも多いんだけどね」


ユイナが洒落にならない事を言いつつブリーフィングルームから退出し、レイとシンジも後へ続く。


「それを言ったら、シンジだって姉には見えない姉が居るじゃない。フェールとルフェルに、

 特にルディとか。わたし達は魂で相手を判別してるから外見はあんまり関係ないけど」

「そういえばそうだけど・・・でも、ルディやフェール、ルフェルも会話してたって全然

 姉さんって感じしないんだけど・・・完全に妹だよねあれは。姉さんばっかりだから嬉しいけどね」


家族の話しで盛り上がりつつ、ネルフ内を出口に向かって歩き続けるユイナとシンジとレイの三人組。

頻繁に口を開いているのはユイナとシンジだが、時折相槌を打つレイが

本当に楽しそうな表情であった為、孤立しているようには見えず、

この三人組を見かけたネルフ職員を驚かせていた。

もっとも、ユイナが極東方面軍司令なせいで近寄れず、会話までは聞こえなかったようだが。


「そういえば・・・」

「どしたの? シンジ?」

「何かあった・・・?」


ふっと、何かを思い出したように言い出したシンジに、

ユイナとレイの二人は忘れ物でもしたの? という風に問いかける。


「いや、ココに来てからずっとこんな会話してるけど、盗聴されてたら困るんじゃない?」

「ああ、そんな事。気にしなくていいわよ。MAGIはとっくの昔にウルが落としてあるし、

 今はガブリエルが管理してるんだから。盗聴も何も、こっちがシステムを利用してネルフを監視してるのよ」

「あ、そうだったんだ。んじゃ何喋ってもOKだね」


自分の考えていた事が杞憂に終わり、ホッとするシンジに、

ユイナは「わたしに抜かりなんか無いわよ」と言って、フンっと胸を張る。

その姿がおかしかったのかシンジが笑い出し、レイも釣られて笑い出す。

そんな二人にユイナがむくれるが、内心は楽しそうであり、

三人組から笑顔が絶える事は無かった・・・


続く・・・





後書き

はい、おわはじ4話でした〜。

名雪「今回は早かったね」

ん、ああ。実は3話と4話って元は合わせて1話だったからねぇ。

長かったから途中で切ったんだよ。

名雪「姑息な手を使うね〜。一緒にアップすればいいのに」

それじゃもったいなかろう。せっかく分けたんだから有効活用せんと。

名雪「ま、それはそうかもしれないけどね。でも、今回で解説したナイチンゲール。あれは何?」

HAHAHAHAHA!

随分と化け物な機体にしてしまったYO!

名雪「強すぎでしょあれは」

いいじゃないか。ラミエルの加粒子砲だって攻撃力1万超えてるんだし。

それを考えるならこのくらい大した事はない!

名雪「あれはかなり特別だと思うんだけど・・・それに、なんで剣技があるの?」

えー。あった方がカッコイイじゃん。

シンジとシンの機体はアレなんだし。

因みに乱れ雪月花の元ネタはロマサガで、五段突きと地ずり残月の元ネタはYAIBAの

沖田総司なんだな。無限の位もYAIBAの柳生十兵衛の奥義だ。

名雪「地ずり残月はロマサガ3にもあるね」

ああ、多分同じ技なんだろうと思って名前はロマサガ3から取った。

YAIBAの中じゃ技の名前は出て無かったしな〜。

名雪「でも、乱れ雪月花の解説っていい加減すぎない?」

そう言われてもな〜。わっち剣技に詳しいわけじゃないし・・・

どっかに詳しい解説あったらそれを参考に修正するかね。

名雪「相変わらず、全部いい加減だね」

うっさい! わかんないもんはわかんないんDA!

っと、長くなってしまったから今回はこの辺でお開きに・・・

名雪「まだ問い詰め足りないけど・・・」

それはまた次回だ! ではサラバ!

名雪「あ! ズル! ・・・もう居ないや。それじゃあまたね〜」


PS.アップ前に乱れ雪月花の解説を修正しますたが、

  後書きの書き直しがめんどくさくてそのままに(爆死