私はナユちゃん! α外伝


「バトルロイヤル初もうで!(前編)」

2001年12月31日、大晦日・・・
俺達はとある山奥の社(やしろ)に向かっていた・・・

祐一「で、なんでこの大晦日に、そんなとにいかにゃならんのだ・・・」

大晦日に、その上このクソ寒い中連れ出されれば文句の一つも出る。

名雪「だって、千年に一度の秘法が手に入るんだよ?! もしかしたら、食べても食べても減らない、イチゴかもしれないし」

名雪が目を輝かせながら言う。
それは絶対にないだろう。
と思いつつも、逆らったら命が無いので、大人しく従う。

名雪が言うには、この山奥には、由来も起源も知られていない、
古い社がポツンと建っているらしい。
そして、この社には秘密があって、一千年に一度、鳥居に仕組まれた呪的機構が働いて、
この世とは別の世界・・・異界への通路が開くらしい。

んで、古代の叡智がよみがえり、異界の奥に最初にたどりついた者にだけ、神秘が授けられる。
と、こういうことらしい。
らしいらしいと連発しているが、ホントにそれ以上は知らん。
っていうか、俺は信用していない。
だって、どう考えてもデマだろ? んな神秘なんてあるわけがない・・・

こんなことやるくらいなら、うちで紅白でも見ていたい。
が、やはり名雪は怖い。ここは従っているしかない・・・
うう・・・情けないな、俺・・・(涙

名雪「祐一、さっきからブツブツ男らしくないよ〜」

どうやら少し口に出ていたらしい。
俺は、はーっと、溜息をはく。

祐一「だって仕方ないだろ。俺は大晦日は、コタツに入ってミカン食って、紅白見ていたいんだよ!」

やべ・・・つい本音が・・・

チャキ

名雪「祐一・・・私に逆らうの?」

俺の眼目に、ネクロとウンディーネを突き付ける名雪。
ガンマレイの警告だ。
一撃必殺ではないが、まともに食らえば、36HIT、ゲージの4分の3はもっていかれる。
因みに、ガードゲージ満タン、カウンターで入れば、一撃で落ちる。
そんな状況で食らうことなどありえないが・・・

祐一「ごめんなさい。なんでもないです」

こんなとこで、極太のレーザーは食らいたくないので、素直にあやまる。
つ〜か・・・今日はディズィーモードなんですね? 名雪さん。

名雪「可愛いでしょ?」

クルっとターンして、ニッコリ笑う。
ああ、その状態ならな・・・って、また口に出てたか。

祐一「この癖、どうにかならんか・・・」

いい加減鬱陶しい。
いらん争いを招くこともしばしば。

名雪「無理でしょ? すっごく都合がいいし

祐一「誰に言ってるんだ、誰に」

名雪「さあ?」

くっ、まあいい。
この話はここまでにして、しばらく歩いていると。

名雪「あ、見えてきたよ〜」

名雪の言ったとおり、古ぼけた社が見える。
ついでに、何故か大きな人だかりも見える。

祐一「なんでこんなに人がいるんだよ・・・」

俺が呆れて人だかりを見渡していると・・・

佐祐理「あ、祐一さ〜ん♪」

祐一「なっ? さ、佐祐理さん?」

ポカッ

後頭部に突然チョップを食らう。

祐一「イテ、って、舞も?!」

舞「・・・・・・・(こくり」

いきなり知り合いに遭ってしまった。

祐一「もしかして、佐祐理さん達も、秘法を?」

佐祐理「はい、そうです〜。祐一さんもですか?」

祐一「あ、ああ。名雪に連れてこられた」

かっこ悪いが、正直に答える。

佐祐理「はぇ〜・・・大変ですね〜」

佐祐理さん・・・わかってくれるか・・・
嬉しくなった俺は、つい佐祐理さんを抱きしめてしまった。

佐祐理「ゆ、祐一さん・・・」

佐祐理さんは、ちょっと慌てはしたが、拒否するそぶりは見せず、
大人しく俺に抱かれいる。
が、

ゴシャァァァッ!!!

突然側頭部にとてつもない衝撃が走る。
そして俺は、なすすべなく吹っ飛ばされる。

バコッ! バコッ! バコッ! ドシャァァァッ!

木を数本へし折り、地面に叩きつけられる。

祐一「ぐぐぐ・・・舞・・・無言で流派東方不敗石破天驚拳を出すんじゃない・・・」

よろよろ立ち上がると、とりあえず、舞にツッコンでおく。

舞「・・・東方不敗が最終

祐一「遅いわっ!!!

鋭い裏拳でツッコミを入れる。

舞「・・・あ、切れ味ばつぐん

祐一「キャラが違うだろっ!

もう一発ツッコミ。

舞「・・・・・・佐祐理ばかりずるい・・・」

祐一「急に話を戻すなっ!!

はぁはぁ・・・大声を上げまくったので、息が切れる・・・

舞「・・・・・ぐしゅぐしゅ・・・祐一怒鳴ってばっかり・・・」

はぁ・・・泣きたいのはこっちだよ・・・

祐一「ごめんな、舞。舞があまりにもいいボケっぷりをするからさぁ・・・」

舞を抱きしめ、頭を撫でながら謝る。
だが、フォローになってるのかは不明。

舞「・・・ぐしゅぐしゅ・・・祐一、吉本VSホリプロ2 お笑いミリオネアバトル2001に出れるかな?」

出るつもりだったんかい!
っていうか、ホリプロはお笑いじゃないだろ。

祐一「ああ、絶対出れるさ。だからもう泣くな」

舞「・・・うん」

舞はやっと泣き止んでくれた。

佐祐理「あははーっ、よかったね〜、舞」

佐祐理さんが駆け寄り、やさしく微笑む。

佐祐理「祐一さんとラブラブだね〜」


グハッ・・・そっちか・・・

ポカッ ポカッ

俺が顔を赤くしていると、舞が佐祐理さんにチョップを連発。

佐祐理「きゃあきゃあ♪」

見れば、舞もかなり赤くなっている。
微笑ましいなぁ。と、思っていると・・・

名雪「祐一・・・随分私のことを放っておいてくれたね?」

ギクゥッ!
すっかり忘れていた。名雪がいたんだった。
俺は恐る恐る振り返る。

そこには、体から黒いオーラを噴出す名雪が居た。

祐一「な、名雪? そ、その黒いオーラはなんだ?」

名雪「・・これ? 霊力・・だよ・・・」

違う! 絶対違う!
あれは妖力だ・・・しかも、黄○ム○ロ○鬼なんぞ比較にならん・・・

祐一「そ、それで、その妖力で、な、なにするつもりだ?」

俺は、ビクビクしながらも、必死で問う。

名雪「わかってるよね? お・し・お・き・・・だよ」

祐一「や、やめろぉぉぉっ!!」

土下座しながらやめてくれという案を、名雪の脳内の参議院に送る。

名雪「だめ・・・だよ」

が、どうやら万条一致で否決されたようだ・・・
衆議院にすらいかねぇのか・・・

その後・・・俺は、ネクロとウンディーネを出した名雪に、
しゃがみパンチ→しゃがみキック→しゃがみスラッシュ→斧(しゃがみ大スラッシュ)
→斧キャンセル魚→追い討ち斧→斧キャンセルダウン攻撃魚
を食らい、ゲージの3分の1をもっていかれた。
標準的なディズィーのガトリングだが、最後の魚を入れるのがちょっと難しかったり。
しかもおそらく、画面端のみ。
ほとんど役に立たない。
っと、話がそれた・・・元に戻そう。

名雪「川澄先輩達も来てたんですね」

瀕死で倒れている俺を無視して、話を続ける名雪。

舞「・・・・うん。名雪達も、秘法が目当て?」

名雪「はい。でも、先輩達には渡しませんよ」

舞と名雪の間に、火花が散ってるのが見えるのは、俺の気のせいか?

舞「・・・私達も、負けない」

佐祐理「佐祐理も負けませんよ〜」

佐祐理さんも加わって、更にバチバチと音を立てて散る火花・・・
怖いよ〜。

名雪と舞&佐祐理さんが目線のぶつかり合いで火花を散らせていると、

香里「あれ? あんた達も来てたの?」

祐一「香里?! おまえまで!?」

一瞬で瀕死から回復し、ガバァっと立ちあがる。

香里「相沢君まで・・・」

はぁ、っと溜息をつく香里。
って、香里がいるってことは・・・まさか・・・

栞「おねぇちゃ〜ん、待ってください〜」

香里の後ろから、はあはあいいながら、走ってきたのは栞。
やっぱり、栞もか・・・

香里「しおりぃ、遅いわよ」

栞「えう〜、そんなこと言うお姉ちゃんなんて」

祐一「嫌いです! か?」

自分の台詞を途中で遮られたため、ビックリする栞。

栞「えっ? えっ? 祐一さん?」

祐一「おう、祐一さんだぞ」

使う相手を間違えた気がするが、気にしないことにする。

栞「あ、名雪さんに舞さんに佐祐理さんも」

祐一「うむ、どうやら、俺の知った顔がほとんど来てるみたいだな」

さっき北川や、久瀬も居たしな。
ん? そんなこと書いてなかったってか?
ああ、影薄いからな。仕方ないだろ。
って、俺は誰に話してるんだ・・・

栞「そうなんですか〜。って、名雪さん達はなんで睨み合ってるんですか?」

栞が、3人の間に入ろうとする。

祐一「あっ、近づくな栞!」

栞「えっ? きゃぁぁぁぁっ!?」

遅かった。
栞は、3人の間で散っていた火花に気づかず、感電してしまった。

栞「祐一さ〜ん! 助けてください〜」

ビリビリ感電しながら、栞が助けを求める。

祐一「・・・なんとなく、余裕ありそうだな」

感電しながらも、しっかりとした口調の栞。
見た目、かなりの電圧だと思っていたのだが・・・

栞「そんなことないですぅ〜。早く助けてください〜!」

祐一「わかった! ちょっと待ってろ」

俺は、栞を感電させている名雪に話し掛ける。
って、こいつもよく気づかないなぁ・・・

祐一「おい名雪! そろそろ放電するのをやめろ! 栞が感電してるじゃないか!」

名雪「えっ? わぁっ!? 栞ちゃん?」

ようやく気づいたのか、名雪が舞と佐祐理さんの2人から目を逸らす。
すると、火花は消え、栞が開放された。

栞「えう〜・・・まだピリピリします〜・・・」

栞は涙目になり、その場にへたり込んだ。

名雪「ごめんね栞ちゃん。大丈夫?」

舞「・・・・ごめんなさい」

佐祐理「はえ〜、大丈夫ですか〜?」

3人とも、本当にすまなさそうな顔をして謝る。

栞「あっ、いえ、大丈夫ですから、そんなに気にしないでください〜」

上級生3人に同時に謝られたせいか、ちょっと恐縮している栞。
そんな栞に、俺は、栞の肩をポンっと手を乗せ・・・

祐一「栞、R団の気持ち、わかったか?」

栞「えう〜・・・そんな毎回毎回黄色い電気ネズミの電撃食らってる人達の気持ちなんて、わかりたくないです〜」

むう、そうか、貴重な体験だと思ったのだが・・・
だが俺は、まだ続ける。

祐一「でも、惜しかったなぁ。もう少しで、栞のアフロヘアーが見れたのにな」

栞「!? そんなこと言う人、嫌いです!」

おお、いつもの台詞が出たか。
とりあえず、今回はその台詞で満足しておくことにする。

香里「で、私はいつまで放っておかれるのかしら?」

あっ、忘れてた。
こいつも影薄いからな〜。

香里「相沢君・・・ちょっとあっちに行こうかしら?」

祐一「えっ? 俺なんか言ったか?」

名雪「祐一、しっかり口に出てたよ」

ゲッ! またか〜!
俺は、香里に物陰まで引きずられていくと、メリケンサックで数十発鉄拳をくらった。
俺、なんか今回殴られてばっかし・・・

つづく


後書き

明けましておめでとうございま〜す。
名雪「あけましておめでとうだよ〜」
さて、元旦には少々遅れましたが、正月SSです。
長くなるので分けました。
名雪「確かに、いつもより長いね」
うむ、10KBをこえたのは初めてです。
でも、まだまだ続くだなぁ〜、これが。
名雪「なんでこんなに長くなったの?」
ん? それは後編で説明する。
名雪「え〜っ!」
ってことで、後編でまたお会いしましょ〜
名雪「う〜・・・」