注意!
今回のナユは最終兵器彼女の世界観をブチ壊しているおそれがあります。
最終兵器彼女という作品の世界観が好きな方は読まない方が
いいかもしれない事もあるかもしれないとも言い切れません。
ついでに言うと、この作品に登場する最終兵器彼女の設定などは私の独断と偏見で決めています。
どうかご了承を!
それではどうか広い心で読んでください。
因みに、この注意を無視されて読まれても、私は一切文句は受け付けませんのでご注意を。
あ、感想などはください♪

PS.自己満足SSです。内容はあまり期待しない方が・・・








神! わたしはナユちゃん! 旅情編!


「最終兵器彼女編!」




















この物語は・・・























ひょんな事から・・・
























全宇宙の創造、管理者となってしまった・・・

























一女子高生・・・
























水瀬名雪の・・・























言語道断で傲慢不遜な毎日を綴った物語である・・・

























いや、だからどうしたとか言わないで、お願い(泣























「で、本気で行くのか?」

「モチロン。だって退屈だからね」


本気と書いてマジと読め。

そんな事はさて置き、俺の従兄妹で恋人の名雪は・・・凄く退屈していた。

思い出すのも馬鹿馬鹿しい事だが、名雪は全宇宙、今俺達が存在している宇宙とは別の宇宙も

含めた全宇宙の創造、管理する存在になった。

なんでそんな事になったと聞かれれば・・・正直わからん。

急に名雪が、「わたし、目覚めちゃった」とか言い出した事が始まりだった。

ま、それからの事は長いしメンドクサイから省略する。

とにかく、今重要なのは名雪が退屈しているという事だ。

全宇宙の創造、管理ができるようになった名雪は、今まで以上に暴走するようになった。

詳しくは・・・聞かないでくれ・・・俺も辛いんだ・・・

で、今回の事だが、名雪は退屈だから他の宇宙へ行って遊びたい。

という事だった。

俺も名雪に不老不死にされて退屈してたから丁度いいが、

一体行った先でどうなる事やら・・・・・・俺は知らんぞ。

行った先の宇宙が消滅しようと俺のせいじゃないからな!


「いっくよ〜」

「へいへい・・・っていきなりかよ!」


読者様に説明してる時に話しを進めないでほしいなぁ・・・

俺のささやかな願いは叶いそうになかった。













「到着・・・っと・・・て、うわぁっ!?」


俺の直ぐ横を戦闘機、F117が音速で駆け抜けた。

衝突しても壊れるのは向こうだから別に問題は無いが、ビックリするので心臓に悪い。

死とは無縁なんだけどなぁ・・・


「なんだなんだ? ステルス戦闘機っていう事は、ここは別の地球か?」

「うん。そうみたいだね」

「そうみたいだね。って、お前ちゃんと決めて飛んだんじゃないのか?」

「だってランダムじゃないとつまんないよ」

「ま、そうかもしれないな」


全てを知っている世界に行ってもつまらないかもしれない。

それでも、名雪はその世界に着いた瞬間にその世界の事が全て分ってしまうが。

ま、何もしないよりは退屈しないだろ。

そう思いステルスが飛んで行った方向に目を向けると。


「んー・・・撃ち合ってるな〜。どっかの紛争か? どんな世界でも戦争はなくなんねぇんだなぁ」

「紛争じゃないよ。第3次世界大戦みたい」


なんでもないように言ってのける名雪。

名雪にしてみりゃ大した事じゃないか。


「それに、この地球、戦争じゃなくても、滅びかかってる」

「マジ?」

「うん。あと・・・数ヶ月、かな。内核が崩壊寸前なんだ。わたし達の地球と違って、最初から弱かったみたい」

「ひえ〜・・・そんな世界もあるんだなぁ」

「う〜ん・・・私も全部把握してるわけじゃないからね〜。そんな世界もあるよ」


ぼーっと空中戦を観戦する。

どう見ても一方的だった。

日本の国旗が書かれたF15がボトボトゴミみたいに落とされる。

戦力に差がありすぎだ。

日本の戦闘機はどう見積もっても数十機。

対して敵の戦闘機はざっと見ただけでも数百機。

戦力差をひっくり返す限界は自軍の戦力の3倍までと言われている。

それ以上はどうにもならない。

歴史上、その差を覆した名将も居たようだが、事実はさだかではない。


「ふーん、日本も戦争をしてるって事は・・・9条は無くなった・・・か」

「それどころじゃないかな。ホントに、世界中で戦争してるから」

「そりゃド派手だな。原因は?」

「やけっぱち・・・」

「やけっぱち?」


名雪の言った事の意味が理解できず、そのまま問い返す。


「うん・・・地球が滅びるって知ってる人達が、やけっぱちで戦争してるの」

「・・・・・・核は?」

「まだ使ってないね。でも、核なんかよりもっと酷いモノが使われてるよ」


名雪はそう、少し悲しそうに呟いた。


「核より酷いもの? なんだそりゃ?」

「もうこっちに来るよ・・・・・・来た」


名雪から視線を外し、戦場に目をやると、さっき以上に一方的な戦いが展開されていた。


「なんだ? あのすばしっこい光は」


突然戦場に乱入した赤い光は、ステルスの速度を遥かに凌駕し、片っ端からステルスを落としていった。

機動性、旋回性能も戦闘機の物じゃない。

どちらかというとあれは・・・MSの物に近かった。


「あれが、この世界の最強兵器。そして、この世界の人類の、最大の罪」


一方的なんていう生易しいものじゃなかった。

名雪が話している間に、もう戦闘は終わっていた。

戦場を覆っていた煙が晴れると、そこには・・・

背中から機械の翼を生やし、片腕が巨大な銃になった、女の子が浮いていた。

瞳には感情の色は無く、その体は、青白い光が包み込んでいた。


「ロボット・・・なのか? あの子」

「ううん。ロボットじゃないよ。あの子は元はちゃんとした普通の、人間・・・だよ」

「・・・惨いことを・・・」


俯いた名雪の肩を抱き寄せると、震えていた。

かく言う俺も震えが止まらなかった・・・

怒りで震えたのは・・・久しぶりだな。

この時、俺達のすべき事は決まった。あの子を救う、と。


「あの・・・」

「ん? うわぁっ!」

「わ、わっ」


何時の間にか、目の前にあの女の子が居た。

さっきより瞳に光が戻り、腕も普通の腕になっていた。

機械の翼は消えていなかったが、あれは飛ぶ為に必要なのだろう。


「あの、あなた達は?」

「あ〜、気にすんな。ただの通りすがりだ。敵じゃない」


我ながら無茶な事を言ってると思うが、こう言うしかないよな・・・

隣では名雪もうんうんと頷いていた。

彼女は少々困惑顔で首をかしげていたが。


「ただの通りすがりだが、俺達は通りすがりのお助け人だ」


カッコ悪いとか言うな。これ以外に思いつかなかったんだよ。

名雪も名前が気に入らなかったのか、少し不満顔だった。

彼女は益々困惑しているようで、かしげた首の角度が更に深まり、頭の上でクエッションマークが飛び交っていた。


「ん〜まあ、通りすがりのお助け人の俺達は、君を助ける事に決めた。それだけだ」

「えっと・・・あたし、困ってません・・・」


意気消沈、といった感じで俯いてしまう彼女。

それじゃあ私は困ってます。って言ってるようなもんなんだけどなぁ・・・


「無理、しなくていいよ。わたしは全部知ってるから。貴女が何をされたのか、何をさせられてるのか。

全部、知ってるから・・・辛かったよね。怒っていいんだよ? 貴女がこんな事をする必要、無いんだから」

「そうだ。俺はまだ君の事はよく知らない。けど、君が辛そうなのは分る。だから・・・」


ピー ピー ピー

俺の台詞を、電子音が塞ぐ。

無粋な真似をしてくれるな、電子機器め。


「・・・・・・行かなきゃ・・・」


取り出したポケベルに視線を落とすと、彼女はそう呟いて飛び去った。


「あっ! おい待て!」


呼びとめても聞こえていないのか、彼女は一瞬で音速を突破し、次の瞬間には遥か彼方だった。


「くっ、名雪! 追うぞ!」

「うんっ!」











「くそ、なんて速さだ」


トールギスVのバーニアを最大出力で吹かしているのに、僅かずつしか差は縮まらなかった。


「彼女はどこに向かってるんだ・・・」

「次の戦場だよ。爆撃機が数百機、北海道を攻撃してる」

「北海道を焼け野原にする気かよ・・・」

「日本はもう、戦う力が殆ど残ってないみたい。だから、全部あの娘が・・・」


第2次世界大戦での教訓は、全然生かされていないようだ。


「くそっ! 名雪! お前はこの戦争の根源を全部潰してこい! 俺は彼女を追う!」

「わかった。無茶しないでね」

「俺は死なないさ。お前と同じ不老不死だからな」


名雪と別れ、俺はバーニアの出力を限界ギリギリまで上げる事でなんとか彼女に追いつく事ができた。










「B2・・・スピリットか・・・」


俺は眼下の光景に圧倒されていた。

黒い三角形の重爆撃機、B2スピリット。

それがざっと見て300機は下らない。

こんなものを放って置いたら、北海道は一日で焦土と化してしまうだろう。


「さて・・・手伝うか」


事情は知らないが、彼女は戦う事を望んでいない。

そりゃそうだろう。どう繕おうが戦争はただの殺し合いだ。

人を殺すのが好きな奴なんて、そうそう居ない。

それに、彼女は多分優しい娘だ。俺の直感だがな。

だから、これ以上彼女の手が血で濡れぬよう、俺が1機でも多く落とす!


「落ちろぉぉぉーーーっ!!」


ファンネルポッドを展開、即座にフィンファンネルを射出。

そこから後は、コックピットに狙いをつけ、手当たりしだいに撃ちまくった。

更に両手にはビームガトリングガンを装備し、これも乱射した。

フィンファンネルのメガ粒子砲がB2のコックピットを貫き、

ビームガトリングガンが機体を蜂の巣にし、爆砕。

機体が地上まで落下する事はなかった。

対して彼女は、ただ叩き落とす事のみを考えているのか、

爆発、炎上して地上に落ちる機体も珍しくなかった。

もっとも、地上に落ちる前に俺が粉々にしているが。


「3分持たなかったか・・・ま、爆撃機だとこんなもんだろうな」


そう一人ごちる。

爆撃機なせいか、殆ど反撃らしい反撃がなかった。

つまんないな・・・


「さて・・・と・・・?」


ふと彼女に視線を移すと、彼女は両手で頭を押さえて震えていた。


「おい! 大丈夫か!?」

「だ・・・め・・・あの人は敵じゃない・・・だめぇぇぇっ!」


彼女に駆け寄ると、彼女は一際大きく光を放ち、身体の兵器が、更に異形な物へと変わっていった。

しかも、そのターゲットは、どうやら俺のようだ。


「逃げ・・・て・・・逃げてぇぇぇぇっ!!!」

「うおっ!?」


刹那・・・俺の直ぐ横を高出力のビーム砲が薙ぎ払った。


「なっ・・・荷電粒子砲? そんな物まであるのか・・・」


自分達の世界は黒歴史兵器なので、他の世界にもあってもおかしくはないが、

直前にステルス戦闘機を見ているだけに内心かなりビックリだった。


「ごめんね。あたし・・・壊れてるから・・・」


発射された荷電粒子砲の閃光が収まると、彼女は悲痛な表情で涙をポロポロ流していた。


「あたし・・・不完全な、兵器だから・・・」

「自分の事を兵器なんて言うなっ!! 君には辛いと感じる感情がある!

痛いと思う心がある! 君は兵器なんかじゃない! 普通の優しい女の子なんだよっ!!」


気付いたら、俺も泣いていた。叫んでいた。

許せない・・・彼女をこんな身体にした外道共が・・・


「・・・でも、あたし・・・街一つなんか一瞬で消せるんべさ・・・

何千人の人も一瞬で殺せるんべさ! そんなの人間じゃないしょ!?」

「そんな事は関係ないんだよっ!! 大事なのは、心があるかって事なんだよ!

俺だって街一つくらいは軽く消せるし、その気になればこの星だって消せる! 何千、何万人の人間だって一瞬で殺せる!

だけど俺は自分を人間だって胸を張って言える! だって、俺には心があるから!」

「でも・・・でも「でももストもないっ! 身体が機械だなんて大した問題じゃない!

どんな身体になっても、君には感情が、心がある!! 何度でも言う! 君は兵器じゃない! 人間なんだっ!!」

「・・・ありが・・とう。シュウちゃんにもそんなこと言ってもらったことないわ・・・でも、ごめんね・・・もう、止められ・・な・・・い」


涙を流しながら、精一杯の笑顔を向けてくれた彼女の瞳から、感情の色が消えた。

その瞬間・・・俺の上半身は吹き飛んだ。


「・・・・・・ぐぅっ!? いきなりか!」


吹き飛んだ上半身が瞬時に復元されるが、苦痛はある。かなり痛いぞ。

恐らく彼女の身体には自動防衛システムが内臓されているのだろう。

そのシステムが未確認の俺を敵と認識し、攻撃を加えてきた。

さっきまで彼女はそれを必死で食い止めていたが、限界がきて、意識をシステムに乗っ取られたのだろう。

彼女は一瞬で俺の懐に潜り込み、荷電粒子砲の零距離射撃で俺を吹き飛ばした。

しかも、俺が常時展開しているグラビティテリトリーとグラビティウォールを苦も無く抜けてきた。


「こりゃ・・・本気(マジ)で相手をしないと、ヤバそうだな・・・」


小さく舌打ちし、ビームガトリングガンからハイパーメガキャノンへと獲物を変える。


「一回・・・機能停止に、追い込む!」


彼女に照準を合わせ、発射。

閃光と共に、膨大なメガ粒子が彼女を襲う。

周囲を旋回していたフィンファンネルへも指示を送る。

8機のフィンファンネルは、瞬時に彼女を取り囲み、オールレンジ攻撃を開始した。

これで、彼女に逃げ場は無い。


グワァァァァァァァッ!!!


寸分の狂い無く、直撃。

決まった。俺はそう確信した。

だが・・・今度は右腕が消えていた。


「くそっ! 無茶苦茶だ! フィンファンネル!」


彼女は多少損傷を負ってはいるものの、戦闘に支障は無いようだった。

更に、さっきまでは右腕が巨大な荷電粒子砲なだけだったが、今見た彼女は、左腕が巨大な剣になっていた。

あれで俺の右腕を切り飛ばしたらしい。

俺はフィンファンネルを更に16機追加射出し、肩にはツインサテライトキャノン。

腹にはトリプルメガソニック砲、ダメ押しにサテライトキャノン装備型ビットMSを20機配置した。

切り飛ばされた右腕も復元し、両手にツインバスターライフルを装備。

俺もかなり無茶苦茶だな・・・そう心の中で苦笑いした。

そして、人知なんてものを遥かに超えた戦いが始まった。






バーニアをガンバスターのブースターに変更した俺は、亜光速で彼女の背後に回り込み、

両腕の武装にツインバスターライフルを押し付け、零距離射撃。

流石に零距離射撃は効いたのか、彼女の両腕は消し飛んだ。

だが彼女の両腕も瞬時に復元され、破壊した時よりも更に異形な銃へと変貌を遂げた。


「自己再生・自己増殖・自己進化かよっ!」


最悪だった。

しかも再生、増殖、進化の過程が一瞬な為、デビルガンダムよりも性質が悪い。

早く勝負をつけなければ。そう思った瞬間、彼女は俺の背後に亜光速で回り込んでいた。


「しまっ!」


遅かった。彼女の両腕が合体し、巨大な荷電粒子砲となって、俺を貫いた。

辛うじて首から上と足首から先は残ったが、他はみんな消し飛ばされた。

死なないとはいえ・・・このままだと俺の精神力が持たない。

建て直しの為の時間稼ぎにビットMSを動かすが、ファランクスレーザーで一掃されてしまい、

時間稼ぎにはならなかった。同時に24機放っていたフィンファンネルまでも全て潰されてしまった。

もはや・・・万策尽きた。


「ちくしょぉぉぉぉぉっ!!!」


完全に敗北を悟った瞬間、俺は叫んでいた。

負けたのが悔しいわけじゃない。

ただ、また助けられなかった自分が許せなかった。


「ちくしょう! ちくしょう! また助けられないのかよ・・・俺は・・また・・・ちくしょぉぉぉぉぉっ!!!!」


地面に落下しても、彼女の砲撃が止む事はなかった。

俺が死なないからだろうな・・・何度身体を荷電粒子砲で焼き尽くされても、瞬時に復元する。

既に痛覚は麻痺し、荷電粒子の光を浴びても、何も感じなかった。


「皆、ごめんな・・・俺、また助けられなかったよ。こんな力があるってのに、女の子一人助けられなかったよ・・・」


荷電粒子に焼かれる度、顔を濡らす涙は蒸発するが、何度蒸発しても、涙は止まらなかった。

何十発目かの荷電粒子砲を浴びた時、俺はついに意識を失った。






「ゆ・・・ち ゆう・ち ゆういちっ! 祐一っ!」


誰かが呼ぶ声が聞こえ、目を覚ますと・・・

そこには名雪が泣きそうな表情で俺の名前を呼んでいた。

否、俺が目を覚まして安心したのだろう。

名雪は大きな瞳からポロポロと涙を零していた。


「ぐす・・・ひっく・・・ゆういちぃ・・・ひっく・・・心配・・ぐす・・・したんだからぁ」


感極まったのか、抱き付く名雪の頭をそっと撫でてやる。


「ごめんな、名雪。心配させちまって。でも俺は大丈夫だ。死なないからな」

「うん・・・うん!」


泣きながらも力強く頷く名雪はなんともいえず、可愛かった。

今の状況を一瞬忘れるほどに・・・


「・・・って、名雪! 彼女は!?」

「あ、うん。なんか止まらないみたいだったから、とりあえずあの娘の周囲の時間を止めてるよ」


名雪に言われ、上空を見上げると、彼女が荷電粒子砲の掃射ポーズのまま固まっていた。


「あの娘、どうするの? って訊くまでもないよね」

「当然だ。彼女を元の人間に戻す。そして、彼女をあんな身体にした外道に、相応の罰を与える。

ま、その後の事は、彼女自身に決めてもらうさ」

「ん、そうだね」


赤くなった目を擦りながら微笑む名雪。


「じゃ、名雪。まずは彼女を頼む」

「まかせて〜」


さっきまで泣いていたのにもう御機嫌の名雪は、上空で停止している彼女を見つめると、

何かを呟きだした。


「・・・・・・酷い・・・体中の殆どが機械になってる・・・しかもこんな不完全なまま・・・

えっと・・・ここをこうして・・・ああやって・・・こうやって・・・」


なんか、後半がかなり怪しい事になっていたような・・・

上の彼女、ゴキバキいってるし・・・


「んっ、これでOK! 祐一、元に戻ったよ」

「そっか、サンキュ。名雪・・・って、おいおいおいっ!!」


身体を元に戻したと同時に時間停止も解けたのだろう。

上空数千mから彼女が自由落下を始めた。

俺は大急ぎでバーニアを出し、彼女を受け止める為に飛び上がる。

ポス

受け止めた彼女は・・・小さかった・・・

うぐぅとタメ張れるんじゃないかって程に・・・


「はぁ・・・こんなに小さかったんだな・・・」


こんな小さな女の子に俺は殺されかけたのか・・・そう思うと少し泣けてくる。

強さを見かけで判断するのはよくないが、流石に男のプライドが・・・

どっちにしても名雪にも勝てないんだが・・・


「・・・あ」

「ん・・・目が覚めたか? とりあえず、今は動かない方がいいぞ」

「え? えぇっ!? あれっ!? あたし・・・・・・え・・・えぇぇぇっ!?」

「だから暴れるな! 落ちるって!」


自身の身体の異変に気付いたのか、途端に暴れだす少女。

ま、そりゃ驚くわな。

彼女は地面に降りるまで、暴れっぱなしだったという事を付け加えておく。


「えっと・・・なんで、あたし元にもどってるん?」

「だから言ったろ、俺達は通りすがりのお助け人だって。そして君を助けるって。なっ」


イタズラっぽくウィンクしてやると、何故か彼女は真っ赤になって俯いてしまった。


「そいで・・・どうやってあたしを元に?」

「あ〜、それはコイツに訊いてくれ。俺にはわからん」

「え? わたし?」

「他に誰が居るんだよ」

「え、え〜〜〜っとね・・・詳しい説明はどう言ったらいいか分んないから省くけど、

簡単に言えば、貴女の身体を分解して、過去の身体、改造されちゃう前の状態の身体に戻して、

そこに、さっきまでの記憶を入れて、それでお終い」


とつとつと名雪が説明をしたが・・・彼女、半分も頭に入ってないだろうな。

実際頭から湯気出てるし。

・・・仕方ないな。


「難しく考えなくていい。ただ、君は元の普通の女の子の身体に戻った。それだけ理解してくれればいいんだよ。

もう、街を壊さなくてもいい。もう、人を殺さなくていいんだよ。辛かったな」


ボウっと心ここにあらず。といった感じの少女の頭をそっと撫でる。

途端、彼女は大きく目を見開き・・・


「うっく・・・ぐす・・・ひっく・・・うわぁぁぁ」


大きな声で泣き始めた彼女を無言で抱きしめる。ほんと、あゆ並みにちっこいな。

すまん、と名雪に視線で告げると、「いいよ。今だけは、許してあげる」とテレパシーで返ってきた。

便利だな〜・・・


「ひっく・・・ぐす・・・」

「落ち着いたか?」

「うん・・・ごめんね、泣いちゃって」

「いや、謝らなくていい。今は、泣いていい時だ。好きなだけ、泣くといい」


そう言って頭を撫でると、彼女はまた大声で泣きだした。

しばらく泣き続けた彼女は、疲れたのか眠ってしまった。






「さて・・・名雪。次・・・行くぞ。案内頼む」

「おっけー。いくよ〜」


名雪の台詞と共に視界が一瞬暗転する。

そして次に広がった光景は、周りに兵の居る、軍の基地内だった。


「行くよ、祐一」

「おう」


眠った彼女を背負いつつ、歩き出す。

周りの兵が騒ぎ出したが、彼女が怖いのだろう。声をかけられたりすることはなかった。

だが


「貴様等、どうやって基地内に入った? いや、そんな事はどうでもいい。ちせ中隊長に何をした?」


報告が入ったのだろう。他の兵とは違う位の軍服を着た太った男が数名の兵を連れ、前に立ち塞がった。

邪魔をしないでほしいなぁ・・・俺はともかく、名雪も怒ってるんだから。

あ、そういやまだ彼女の名前訊いてなかったな。ちせっていうのか。


「彼女、ちせは眠ってるだけだ。それと、俺達の邪魔はしない方がいいぞ。死ぬのが早くなるだけだ」


言っても無駄だろうけどな。そう心の中で毒づく。

なんせ俺達は見た目はただの男子校生に女子高生だからな。


「動くな! 貴様等を拘束する!」


予想を裏切らない展開に俺は溜息をついた。

兵が集まりだし、次々と銃を構える。

名雪が動こうとしたので腕を上げて制する。

と同時に、兵が銃を発砲した。

威嚇だったのだろう。弾は大きく外れ、地面に命中した。


「動くなと言ったはずだ」


偉そうな軍服を着た男が凄みを効かせたつもりで睨んでくる。

それで凄んでるつもりかよ・・・


「銃を向けて、撃ったな? それと、俺は邪魔をするなと言ったはずだ。そんなに早く死にたいのか?」


心底呆れ顔で言ってやる。


「丸腰の貴様等に何ができる? 例え武器があってもこれだけの人数相手に敵うつもりか? お笑いぐさだな、ハッハッハッ」


訂正、軍服を着たブタだ。

ブタが笑い出すと同時に回りの兵も笑いだした。


「そうか・・・なら・・・今すぐ死ぬといい」


言い終わると同時にフィンファンネルを8機射出。

ブタの両腕両足を吹き飛ばした。

両手はちせを背負っているので塞がってるが、ファンネルなら関係ない。


「さて・・・小便は済んだか? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする心の準備はおーけい?」


一度この台詞言ってみたかった・・・

両手両足を吹き飛ばされ、ダルマになったブタは、何が起こったのか分らない様子で倒れ、

ガタガタと震えだした。


「た、助け・・・」


最後まで言わさず、頭をメガ粒子砲で消す。

周りの兵達は一瞬呆けていたが、直ぐに現実に戻り、青くなってジリジリと後退していた。

悟ったのだろう。手を出してはいけない相手に自分達は手を出してしまったのだと。


「う、うわぁぁぁぁっ!!」


一人の兵が大声を上げて逃げ出したのを合図に、多くの兵達が一目散に駆け出した。

中には残って俺達に銃を乱射する兵もいたが、銃弾は全てGテリトリーとGウォールに阻まれ、俺達には届かなかった。


「逃げられると、思うな」


俺は更にフィンファンネルを8機追加し、逃げ惑う兵も含めてその場に居た全員の兵をメガ粒子砲で焼き払った。

後に残ったのは、身体の一部をメガ粒子砲で吹き飛ばされた、かつて人間だったタンパク質の塊だけだった。


「あ〜あ、ちっと汚れちまったな」

「いいよ。後で纏めて綺麗にするから」


ま、どうせ後で基地ごと消し飛ばすからな。

メガ粒子砲で焼いたおかげか、吹っ飛ばした部分の傷口からは、血が流れ出す事はなかった。


「起きないな・・・」

「疲れてるんだよ」


あれだけの騒ぎがあったのにもかかわらず、ちせはまったく起きる様子がなく、

スヤスヤと幸せそうに眠っている。

それだけ、疲れてるって事か・・・前までは、安眠できなかったのかもしれないしな。


「とっとと、済ませるか」

「そうだね」


ちせを背負いなおし、基地の奥へ向かう。

お約束なのだろうか、辿り着いた場所は、基地の地下だった。


「改造した張本人と数人はココに居るよ、あと一人は別の場所に居るけど」


名雪が分厚そうな自動ドアの前で立ち止まって言う。


「そうか、なら・・・まずはココだな・・・」


自動ドア横のカードリーダーをフィンファンネルの最低出力でのメガ粒子砲で破壊し、強引にドアを開ける。


「な、なんだお前達は!」


中に居た男達のリーダーらしき男が、ちせを背負った俺を見て、そう叫んだ。


「お前達、UW-001に何をした?」

「UW-001? なんだそれは?」


何の事だかは直ぐに理解できた。

ちせの事なのだろう。


「お前が背負ってる兵器の事だ」

「・・・・・・ククク」


思わず笑いが込み上げてくる。

人間、どうしようもなく怒った時は、おかしくなるもんだな。


「何を笑っている」

「いやなに、貴様等がどうしようもない外道でよかったと思ってな。

これで、遠慮なく貴様等を生き地獄に叩きこめる。名雪」

「言われるまでもないよ。閉鎖宇宙S00973527182734へのゲート展開。

バイバイ・・・ちせちゃんが味わった苦痛、数億倍にして味あわせてあげるから」


ニッコリと、それでいて見る者全てを凍りつかせるような絶対零度の笑みで名雪は微笑んだ。

と同時に、外道達が真っ暗な深淵の宇宙へと音もなく吸い込まれ、消えた。


「何をするか、方法はお前に任せるが、どうする?」

「そうだね〜・・・ゴーモンデーモン使おっか。

何度死んでも死なないようにして、苦痛を感じなくする事も、意識を失う事も、

発狂する事も、人格分裂する事も、させない。精神が崩壊しても瞬時に直して、

心が壊れる事も許さない。延々、苦痛を味わってもらうよ・・・」


相変わらず冷たい目で名雪が淡々と言ってのける。

恐ろしいな・・・ま、奴等は当然の報いか。


「期間はどれくらいにするか?」

「永遠、でいいんじゃないかな」

「それじゃつまんないだろ。そうだな・・・ちせは今まで何人殺させられてきた?」

「えっと・・・合計58万3792人だよ」

「んじゃ、58万3792年後に解放してやるって言ってやって、解放の日に嘘だ。と言って永遠やってやれ」

「いいねそれ。りょーかいだよ」


我ながら悪魔だった。ゴーモンデーモンは拷問が続けられて喜ぶだろうがな。

死ななく、狂わない実験材料。これほど奴等にとって嬉しい物はないだろう。


「残った一人は・・・そうだな、さっきの奴等と同じにして、新しい宇宙にたった一人で飛ばせ。

永遠に、自分以外誰も居ない恐怖を味わってもらおう」


その後、カワハラといったか、その男も、この世界から消えた。

ちせが元に戻った事を知ると、その男は安心した様子で無の空間へと吸い込まれて行った。


「これで、戦争も終わり、ちせが改造されたり、他の奴が改造されたり、なんて事はもうないな」

「うん。後は、この基地を消滅させるだけだよ。祐一がやる?」

「当然。俺がやるさ」


背中に背負ったちせを名雪に預け、俺は空高く飛び上がった。

肩にツインサテライトキャノン。両手にはツインバスターライフル。

腹にトリプルメガソニック砲。額にはハイメガキャノン砲。

最後にサテライトキャノン装備型ビットMS10機。

地下施設ごと消滅させるには十分な装備だ。


「消えて無くなれ! 忌まわしき人類の罪よ」


原型が殆どわからないシャアのパクリ台詞と共に一斉射撃。

膨大な荷電粒子の光とメガ粒子の光が混ざり合い、巨大な光の剣となって大地を貫く。

着弾点から半径5km圏内は、一瞬で蒸発した。

本来なら半径50〜70km圏内は破壊しつくせる一撃だったが、そこまでするわけにはいかず、

名雪に結界で覆ってもらった。

だが、範囲を狭めたおかげで、その内部は爆発の逃げ場を失い、地中深くまで抉り取られた。


「これで・・・終わった・・・な」

「うんっ」


巨大な穴を見つめながら呟く。

名雪は今回の事が解決してなんとなく嬉しいそうだ。


「う・・・んん・・・」

「流石に、今のは目が覚めるか」

「結界で閉じてても衝撃や閃光凄かったもんね」


あれで起きなかったら、寝雪の称号をくれてやろうかと思った。

という事は口に出すと名雪が怒るので口にはしないが。

ま、今の名雪は至近距離で核爆発が起きようがスヤスヤ寝てるだろうがな。


「祐一、今酷い事考えなかった?」

「気のせいだろ」


こういう事に関して名雪は鋭い。


「あ、あれ? あたし、寝ちゃったんかい」

「よ、おはよう。疲れてたんだろ。もう全部終わったから、寝ててもいいぞ」

「え? おわっ・・・た?」

「ああ、世界各国の戦争の根源を摘み取ったからな。もう戦争どころじゃなくなるだろ。

ちせを改造した時のデータも記録も抹消したから、こんな事は二度と起こらないしな」

「ありがとう・・・ございます」

「あ、そういえばまだ自己紹介してなかったな。俺は相沢祐一。歳はとりあえず17歳だ。もう止まってるけどな」

「そういえばそうだったね。わたしは水瀬名雪。歳は祐一と同じだよ」


これだけ話しててまだ自己紹介してなかったのもおかしな話だな。

名前はどっかのブタが言ったので分った事だし。


「あたしはちせです。高校三年生で、17歳です。

あれ? あたし、変な事言ったかい?」

「い、いやいやなんでもない。なんか小さいから中学生かななんて思った事はな・・・はっ!?」

「祐一・・・言っちゃってるよ・・・」


うう・・・焦ったせいでいらんこと言ってしまった・・・

いや〜・・・まさか高校生で同い年とは思わなかった・・・

そういえば・・・どっかに見た目小学生で同い年のうぐぅが居たっけか・・・

『うぐぅ・・・祐一君酷いよ』

聞こえん・・・俺は何も聞こえんぞ。


「あ、あはは・・・すまん」


素直に頭を下げる。

謝っとかないと後で名雪も怖いしな。


「いえ、いいべさ。あたし、ちっこいから」


そう言って笑う彼女は、どこか寂しそうだった。


「ん、どうした? 何か心配事でもあるのか?」


そう俺が言った途端、ちせの表情が暗くなる。


「な、なんもないべさ。なんも」


そう口では言っているが、何かある事は顔を見ればバレバレだった。


「はぁ・・・そう言われてもなぁ。そんな顔されて何もないわけないだろ?

言ってみな。多少の無理はどうとでもなる」


こっちには名雪が居るんだしな。

できない事は何もない。そう、心の中で付け加える。


「したっけ・・・祐一君に迷惑かかる」

「そんな事気にするな。俺達はちせを助けるって決めたんだ。

遠慮しなくていい。バンバン言ってくれ」

「したっけ・・・」

「だから気にすんなって」


頑なに遠慮するちせの顔は、何故か赤かった。

そして、隣の名雪も、何故か黒いオーラを発していた。

おーい、少し混沌が漏れ出てるぞ〜。


「・・・したら・・・・・・えっと、あたし・・・・祐一君に・・・恋・・・・しちゃった」

「へ?」


今ちせは何て言った?

俺にはちせが俺に恋をしたと言ったように聞こえたが・・・気のせいだよな?

と、隣の名雪からダダ漏れになってる混沌の黒いオーラも気のせいだよな?

特に後者は確実に気のせいであってくれ・・・お願いだ・・・


「あたし・・・祐一君の事・・・好きに・・・なっちゃった・・・」


熱された石炭のように真っ赤になるちせ。

可愛いなぁ・・・・ってダメだ! 俺には名雪がいる!

って! 名雪さん! 俺に混沌を浴びせるのは勘弁してください!

気が遠くなって滅びてしまいます!


「な、なんで俺なんかの事を?」


隣の名雪が本気(マジ)で恐ろしいので恐る恐る尋ねる。


「えっと・・・あんな事言ってくれた人・・・いなかったんだわ

シュウちゃんにも、言ってもらったこと無いべさ」


あ〜・・・はいはい・・・そうだったのねー。

そーいえばさっきもそんな事言ってたねー。

シュウちゃんってちせの親友か彼氏かなんかかなー。

頼むよー。親友か彼氏なら言ってやってくれよー。

言ってくれないからさー。俺の命が危険でピンチじゃんかよー。

俺は、心の中でシュウちゃんとやらを全殺しにする事を決めた。


「・・・したっけ、迷惑しょ? 祐一君と名雪さん。恋人しょ?

だから・・・あたしに告白されても・・・迷惑しょ?」

「そ、そんなことない! 俺は嬉しいよ!」


・・・言っちまったー!!

だってよー。仕方ないっしょー。

あんな寂しそうな表情でポロポロ泣かれたらさー。

でも、俺は今日でこの永遠の命を散らしそうです。

しかもそれをもらった相手に散らされそうですよ、ママン。

先立つ不幸をお許しください。






その後、俺は5時間ほど外道達が送られた閉鎖宇宙に放り込まれた。

死ぬ気で魔界の魔神達と戦い抜いたおかげで、拷問はされずに済んだが、本気(マジ)で生きた心地がしなかった。

戦ってる真っ最中に名雪の説得を行い、なんとか説得に成功。

名雪とちせ、両方と付き会う事が決まった。

え? シュウジ? 俺が全殺しにして燃やせるゴミの日にゴミ袋に包んで捨ててやった。

どーなったかなー、あいつ。

ま、俺の知ったこっちゃないが。

とにかく、俺は両手に花となった。それだけだな・・・


PS.ちせは鳴声も可愛かった・・・

  あ、そういやちせの居た世界どうなったんかな〜?

  お〜い、名雪ー! あの世界どうなった〜?

  へ〜、ちゃんとやってたんだな〜。あと数億年はもつそうだ。


つづく



後書き

どーも、すっごくお久しぶりのネオ改です。
えーっと・・・ではさらば!

ガシ!

名雪「逃げちゃダメだよ?」

ああ・・・名雪サン・・・その絶対零度の笑みはなんですか?
それと、お願いします・・・逃がしてください。
このままだとサイカノファンに殺されるんで・・・
ええ、マジで殺されかねないんですよ。

名雪「うん。だから、殺されてきてね♪」

ああ・・・この世に神は居ないのね・・・

名雪「何言ってるの、神は私だもん♪」

あ、AHAHA・・・そうでした・・・

名雪「それじゃあ、張り切って殺されてきてね〜♪」

い、いやじゃぁぁぁぁぁっ!!!


PS.サイカノファンの方、マジでごめんなさい(-人-)