夢の続き


今日は12月23日、私の誕生日♪
祐一と恋人になってから初めての誕生日。
祐一なにくれるのかな〜? 祐一からのプレゼントならなんでも嬉しいよ〜♪

あっ、祐一だ〜。
あんなところでなにやってるんだろ?

名雪「祐一、なにやってるの?」

わっ、なんか思いっきりビックリしてるよ。
なんかまずいところ見ちゃったのかな?

祐一「いきなりなんだよ、ビックリしたじゃないか」

名雪「だって祐一が、宝石屋さんの前でしゃがみこんで、なにかやってるんだもん」

あ、今度はギクってなってるよ。

祐一「い、いやなんでもない。気にするな」

今度はどもってるよ〜。
なんかアヤシイよ。

名雪「気になるよ〜」

祐一「だからなんでもないって! じゃな!」

名雪「あっ、ゆうい・・・」

行っちゃったよ。
それにしても祐一、宝石屋さんでなにやってたんだろ?
なんか、この辺でしゃがんでたけど・・・あれ、これって・・・指輪?

あっ! もしかして、私の誕生日プレゼントかな?
誕生日プレゼントに指輪・・・祐一・・・私、嬉しいよ・・・

夜・・・

なんか、夜まですごく長かった気がするよ・・・
心臓なんて、ずっとドキドキしっぱなし。

いつも美味しくて、しかも今日は特別だったお母さんの料理も、全然味がわからなかったよ。
あ、そうだ、早くお風呂に入っておかなきゃ・・・今日は祐一と・・・(ポッ

仕度して、お風呂に行く途中に、祐一に呼びとめられた。

祐一「な、名雪、ちょっと・・・話があるんだけど・・・」

名雪「う、うん・・・」

えっ? 祐一、もう渡してくれるの?

祐一「ここじゃなんだから、外に出ないか?」

名雪「うん、ちょっと待っててね」

・・・雪の降る中、祐一とお出かけ。
ちょっと寒いかな、って思ったけど、祐一と一緒だとあったかい。

名雪「祐一、どこに行くの?」

祐一「俺の、とっておきの場所だ」

祐一のとっておきの場所・・・どこだろう?
公園かな? それともものみの丘かな?

商店街をゆっくり歩く祐一と私。
う〜ん・・・どっちなんだろ・・・
・・・えっ? 祐一、そっちは駅の方だよ?
公園とも、ものみの丘とも方向が違うよ?

祐一「ついたぞ」

ついたって、ここ?
でもここって、ただの駅前のベンチ・・・
あっ・・・

祐一「名雪? どうした? って、お前泣いてるじゃないか」

名雪「えっ? あ、あれ? どうしたんだろ。嬉しいのに」

なんでだろ・・・涙が止まらない・・・
嬉しい。すっごく嬉しいのに・・・
嬉し涙かな?

名雪「だいじょうぶだよ。多分嬉し涙だから」

祐一「ちょっとカッコつけすぎたかな・・・まあいいか」

祐一がポケットから小さな箱を取り出した。

祐一「名雪、誕生日おめでとう」

祐一からプレゼントを受け取る。
綺麗にラッピングされてて、リボンの間にカードが挟まってる。
カードには、「誕生日おめでとう」って書いてあった。

名雪「祐一・・・ありがとう」

私は、精一杯の笑顔で祐一にお礼を言う。
あ、祐一ちょっと照れてる。

祐一「ん、空けてくれないか」

リボンを解いて、ゆっくり空ける。
そして、小箱のふたに手をかけた瞬間、私の意識はそこで途切れた・・・







名雪「あれ?」

目を開いて、周りを見渡す。
眩しい光、ケロピー。
見えたのは、それだけ・・・

名雪「夢・・・だったのかな?」

カレンダーを見て、日付を確認する。
12月23日、私の誕生日。

夢だったんだ。
でも、凄くはっきりした夢だった。

コンコン

唐突に、私の部屋のドアがノックされる。

名雪「誰?」

祐一「え? 名雪、もう起きてるのか?」

ドアの向こうから、祐一の驚いた声が聞こえる。

名雪「うん、起きてるよ」

ガチャっとドアがあいて、祐一が顔を見せる。

祐一「驚いたな、名雪がもう起きてるなんて・・・今日は雪か?」

名雪「酷いよ祐一。私だって普通に起きれるよ」

それに、雪ならこの頃毎日降ってるよ。

毎日こうだといいんだけどな。って捨て台詞の後、祐一は先に下りた。

朝食が終わってしばらくして、祐一が出かけていった。
私も用事があったから、祐一が出た後、私も家を出る。

用事を済ませて、商店街を歩いてると、宝石屋さんの前でしゃがんで、
なにか考えてる祐一を見つけた。
あれ? 夢と同じ?
まさかね、そんなことないよね。

名雪「祐一、なにやってるの?」

あ、ビックリしてる。
これも夢と同じ・・・

祐一「いきなりなんだよ、ビックリしたじゃないか」

名雪「だって祐一が、宝石屋さんの前でしゃがみこんで、なにかやってるんだもん」

今度はギクって・・・また夢と同じ・・・

祐一「い、いやなんでもない。気にするな」

どもってるのまで・・・まさか・・・正夢?
祐一がしゃがんでた場所も夢と同じだった・・・

夜・・・

夕食の後、お風呂に入ろうとしたら、やっぱり祐一に呼びとめられた。
そして祐一とお出かけ。

何から何まで夢と同じ・・・でも、夢と同じとわかってても、
胸が凄くドキドキしてるよ・・・

祐一「ついたぞ」

とっておきの場所も、夢と同じ駅前のベンチ。

名雪「ぷっ・・・あははは」

祐一「な、名雪!? どうした?」

あ、思わず笑っちゃったよ。

名雪「だ、だって、今朝見た夢と、全部おんなじなんだもん」

祐一「夢ぇ?」

その後、祐一に全部話した。

祐一「へ〜、そんなことってあるもんなんだなぁ・・・」

名雪「うん、私もビックリだよ」

祐一は仕切に頷いている。

祐一「で、この後はどうなったんだ?」

名雪「え〜っと、祐一がプレゼント渡してくれて、空けたとたんに終わっちゃった」

祐一が一瞬ニヤっと笑う。
なにか変なことを考えた証拠。

祐一「へ〜・・・・ってことは、これは夢にはないんだな?」

急に祐一に抱き寄せられて、キスされた。
自分の顔がどんどん真っ赤になっていくのがわかる。

名雪「ゆ、祐一〜・・・」

一応抗議しておく。
イチゴサンデー奢ってくれるかもしれないし。

祐一「ははは、誕生日おめでとう。名雪」

祐一全然気にしてないよ・・・
ほれ、誕生日プレゼントだ。っと綺麗にラッピングされた小箱渡された。

祐一「中は夢でも見てないんだろ? 早く空けてくれよ」

祐一にそう促されて、急いで包みをあける。
包みを空けて、小箱のふたに手をかけたとたん、胸の鼓動が急に早まった。

パカッ

ふたを空けると・・・中に指輪が一つ。

名雪「祐一、これ・・・」

どう見てもダイヤモンド・・・これって・・・

祐一「ん? それか? 高かったんだぞ。バイト代3ヶ月分だ」

祐一は春になってからずっとアルバイトをしてた。
これの為・・・だったのかな。

祐一「左手の薬指にはめてくれよな」

えっ!?

名雪「ゆ・・・祐一・・・それって・・・」

結婚しようって言ってくれてるの?
でも、言葉が上手く出てこない・・・

祐一「嫌か?」

名雪「ううん! 嬉しいよ、祐一っ!」

胸いっぱいに嬉しさが広がって、祐一に抱きつかずにはいられなかった。
祐一・・・大好きだよ・・・今までも、これからも、ずっと・・・

祐一「言ったろ、ずっとそばにいるって」

名雪「うんっ!」

もう一度、祐一とキスをする。
今度は長く・・・お互いの気持ちを、確かめ合うように・・・


終わり



後書き

名雪の誕生日SSです♪
クリスマスには、ならないかな・・・(笑
名雪「なるわけないよ」
むう・・・まあいいか。
とりあえず、次回の正月SSでお会いしましょう(ぉ
名雪「またね〜」