思わぬ休日!?










朝〜朝だよ〜

朝ごはん食べて学校行くよ〜

「ん…?」

はて俺は昨日目覚ましかけたかな?休みだからかけた記憶無いんだが…

朝〜朝だよ〜

起きないとこうだよ〜

何だって?

「ぐはっ!」

突然の何かの自由運動落下に、体がベッドに沈む。

「祐一〜朝だよ〜起きて〜」

「分かった、分かったから!」

その声の主…従姉妹であり、恋人でもあるここの家主の娘…水瀬名雪に声をかける。

「なら早く起きてよ〜」

名雪はそう言って体を揺する。

「ぐぁっ、分かったから止めてくれ〜」

俺はギブ宣言を発表する。

「よろしい、早くアレしてよ」

名雪はそう言って顔を近づけてくる。

「ったく、しょうがないな」

俺は言葉ではそう言いつつも、内心はかなり…いや、むちゃくちゃ嬉しい。

ちゅっ

「おはよっ、祐一〜」

「おはよう、名雪…ってどうでもいいが、のいてくれ…起きれん」

「ふふふっ、ごめんね〜」

「何か考えてるな…」

「えっ…祐一の寝顔はかわいいな〜ってね」

一言そう言って俺の上からのこうとする。

がしっ

「わっ…」

俺は名雪を引っ張り寄せる。

ちゅっ

不意をついて名雪の唇を奪う。

「…祐一〜酷いよ〜極悪人だよ〜」

名雪は顔を真っ赤にして抗議の声を上げる。しかし表情はかなり嬉しそうに見える。

「なら、もうしない。」

「えっ…」

「冗談だ。」

「もぅ〜!祐一〜!」

俺の上で顔を真っ赤にしている従姉妹の姿は、俺の一番の宝物である。

「はははっ、さて起きるからのいてくれ。」

「やだ、のいてあげないもん!」

「のいてくれないと、何処にも行けないぞ?」

「祐一…お詫びは?」

ちゅっ

「これでいいか?」

「わっわっ」

名雪は顔を真っ赤にして俺の上からのく。

「じゃあ着替えて降りるから先に行っててくれ。」

俺はベットから降り、名雪にそう告げる。

「うん、先に行ってるよ〜」

そう言ってドアが閉まる。

「さて着替えて下に行かないと…お姫様がご機嫌ななめになる」

ごんっ

廊下から何か、ぶつけた音がしたが、誰かは予測がつくので気にしないで置く。

「さて降りよう」

俺はリビングへと向う。

「おはようございます。祐一さん」

「おはようございます。秋子さん」

俺が今挨拶をかわしたのが、ここの家主さんで、水瀬秋子さん、名雪の母親で、俺の叔母さんだ。

「名雪はどうしました?」

「名雪はおでこを押さえながらキッチンにいますよ。でもどうしたのかしら?」

「そうですか。」

「はい。それで朝ごはんはどうされますか?」

「あっ、いただきます。」

そう言って俺と秋子さんは、キッチンへと向う。

「祐一さん、パンですか。ご飯ですか?」

「パンでお願いします。」

「名雪はどうするの?」

「私もパンでいいよ〜イチゴジャム〜」

「はいはい。どうぞ」

俺たちの前に焼きたてのトーストが並べられる。

「祐一…」

名雪がイチゴジャムを塗りながら、小声で俺を呼ぶ。

「なんだ?おでこの事か?」

「何で知ってるの〜?」

「わからいでか、あんな大きな音を立てればな…」

「あらあら、どうしました?」

秋子さんがいつもの格好でにこやかに聞いて来る。

「わぁ〜何でも無いよ〜」

あわてて名雪は否定する。

「秋子さん、名雪は…」

「わぁ〜祐一!」

「はははっすまん」

「楽しそうですね。コーヒーお代わりはいかがです?」

「あっ、いただきます。」

俺はコーヒーのカップを出す。

「少し待ってくださいね。」

そう言って奥に行く秋子さん。

「祐一〜」

名雪を見るとほっぺを膨らまして怒る。

「いやぁ…あれが名雪とは思ってなくてなぁ〜」

「ぷぅ〜」

「あらあら、けんかはいけませんよ。」

コーヒーのお代わりを持ってきた秋子さんに止められる。

「祐一が悪いんだよ〜」

「俺か?」

言い合う横で秋子さんはにこやかに眺めていた。

「行って来ます。」

「いってきま〜す」

「いってらっしゃい。」

俺たちが出て行こうとすると、

「あっ祐一さん、名雪、今日私、近所の方たちとお出かけしますので、夜食事作れないのですが…外で食べてくださいますか?」

秋子さんはそうにこやかに言う。

「ええ、いいですが…名雪?どうする?」

「別にいいよ〜」

「そうですか…ならこれを差し上げます。楽しんできてくださいね。」

秋子さんはそう言って封筒をくれる。

「これは…?」

「まあ後で見て下さいね。それじゃあ私も準備がありますのでここで」

秋子さんはそう言って奥に消える。

「?まあいいや、行こう名雪」

「うん」

俺たちは外に出る。

春の穏やかな陽気が俺たちを包む。

「さて…何処に行くんだ?」

「商店街だよ〜それからいろいろ回ろうよ。」

「そうだな!」

俺たちは商店街へと歩き始める。

商店街は、行き尽くしてはいたが、名雪とゆっくり回るのは久しぶりなのでかなり楽しむ事が出来た。

例によって、昼は名雪のたっての希望により、百花屋となった。

「う〜おいしいよ〜幸せだよ〜」

「イチゴサンデーで幸せか…」

「違うよ〜祐一と一緒だからイチゴサンデーもおいしいんだよ〜祐一がいなきゃここまで幸せにはなら無いよ〜」

「その割には顔が緩んでるぞ」

「酷いよ〜極悪人だよ〜」

顔を真っ赤にして抗議する。

「はははっ、あっそうだ、秋子さんからの封筒の中身は…っと」

かさっ

封筒から出てきたのは二枚のホテルディナーの招待券だった。

「何だ?これは?」

「見せて〜…これ、隣の市のホテルだよ〜高いって有名なんだよ〜」

名雪がそのチケットを見て驚いたように言う。

「そうなのか?」

「でも、気取らないって、かなり人気なんだよ、普通のラフな格好でもいいって、若い人が多いって噂だよ。」

「ほう…なら行くか?えっと…五時か…隣町で遊ぶのもいいかもな」

「そうだね〜じゃあ行こうよ」

そんな会話をかわしながら、食事を終わらせ、外に出る。

「じゃあ行くか!」

「うん!」

俺たちは駅へと向う。

「着いたな…」

「そうだね…」

俺たちは隣町でしばらくいろいろ周り、時間になったのでそのホテルに向ったのだが…

「大きいな…」

「大きいね…」

俺たちはその大きさに驚く。

「まあここでそんな事してても仕方ない。行くぞ、名雪。」

「あっ…待ってよ〜」

歩き出した俺に名雪が追いつき、腕を組む。

入り口で、

「いらっしゃいませ、」

案内の人に迎えられる。

「あのこれはどうしたらいいですか?」

俺はチケットを見せる。

「はい、相沢様と水瀬様ですね。こちらへ…」

俺たちはボーイさん?に案内される。

エレベーターに乗り上に上がる。

「どうぞ、お客様のお部屋です。」

そう言って通されたのは、最上階の一室だった。

「あ、ありがとうございます。」

名雪は外に見惚れている。

「お食事は、ここにお運びいたしますので、しばしの間おくつろぎくださいませ。」

そう言い残し、ボーイさんは下へと降りていく。

「おい、名雪、名雪!」

「あっ…何?どうしたの?」

名雪が呼びかけに答える。

「いや、食事はここに持ってきてくれるそうだ」

「へぇ〜て事はこの景色を見ながら食べれるんだね♪」

「そうみたいだな…にしてもすごいな…ここの景色は…」

「そうだね…」

俺たちは言葉を失う。

今はまだ明るいが、夜になればもっと綺麗だろう。

「良かったね。祐一〜」

「そうだな…秋子さんには感謝しないとな…」

俺はそう呟き、名雪の肩を引き寄せる。

「祐一〜幸せだよ〜」

「そうだな…」

それからしばらくそのままで外を眺めていた。

「お待たせいたしました。では何かあればおよび下さい。」

そう言って料理を持ってきた給仕さんは部屋を出て行く。

「これ凄いね…」

「そう…だな」

俺たちは料理についても驚いた。

いろいろな料理がテーブルに並ぶ。

在りすぎて説明できないぐらいの数がある。

「じゃあ食べようか」

「そうだね〜いただきま〜す」

俺たちは食事に手をつける。

「ふぅ〜食った食った…」

「もうだめぇ〜」

テーブルの上の料理はほとんど無くなっていた。

「でも何か知ってる味のような…」

「そうだね〜何でだろうね〜」

「失礼します。お片づけしてよろしいでしょうか?」

「ええ、お願いします。」

そう言うと給仕さんはテキパキと片付け、

「失礼します。」

片付けたワゴンを押しながら出て行く。

「早い…」

俺はそう感想を漏らす。

「わぁ〜外凄いよ〜」

名雪が感嘆を漏らす。

そう聞いて名雪の横に並び、肩を抱く。

「きゃっ…祐一〜」

「綺麗だな…」

「何か言った?」

「いいや、それにしてもこれは…二つの星空のようだな〜」

「そうだね…」

俺の胸に持たれ込んで呟く。

しばらくそうしていたらふと思い出した事があり、チケットを見てみる。

「何だって!いいのか?」

俺はそれを見て驚く。

「わっ…どうしたの祐一?」

「これをちゃんと見てみろ。」

名雪にチケットを渡す。

「え〜っと…一泊二日宿泊付ディナー券?…えぇ〜っ!」

名雪は表示を見て驚く。

「書いてあるのを見落としてたよ…まぁいいっか!」

「そうだね!」

しばらく外を眺めていたら横から規則正しい呼吸音が聞こえ始めた。

時計を見ると10時半を回った所だった。

「もうそんな時間か…今日は疲れてるだろうな。ゆっくりお休み。名雪。」

その寝顔を見て、かわいく、美しい恋人の笑顔を思い出し、起こさないようにベットに運ぶ。

「おやすみ。名雪。」

軽くキスをして、しばらくその寝顔を眺める。

願わくば、この幸せな表情を永遠に続かせてください…

祐一はそう思って、こう呟く。

「名雪…

 俺には、奇跡は起こせないけど…

 でも、名雪の側にいることだけはできる

 約束する

 名雪が悲しい時には、俺がなぐさめてやる

 楽しいときには、一緒に笑ってやる

 白い雪に覆われる冬も…

 街中に桜の舞う春も…

 静かな夏も…

 目の覚めるような紅葉に囲まれた秋も…

 そして、また、雪が降り始めても…

 俺は、ずっとここにいる

 もう、どこにも行かない

 俺は…

 名雪のことが、本当に好きみたいだから

 おやすみ

 

 その笑顔は俺が守り続ける…

 曇らせはしない…

永久に…

そうして2人の一日が終わりを告げた。

FIN


後書き

名雪   後書きだお〜

疲れました…

名雪   もっと書いてお〜

そうしたいがな…

名雪   ぶ〜!

にしても秋子さんはどうやってあれを手に入れたのでしょう?

??   企業秘密ですよ…

うわっ…秋子さんいつの間に…

秋子  いえ、そうそう名雪、たのしかった?

名雪  うん!と〜っても幸せだった〜

秋子  それは良かったわ…。あ…

名雪  あ?

秋子  いえなんでもないわよ。さて帰りましょうか。祐一さんも待ってるわよ。

名雪  うん!

秋子  それではまたお会いしましょう

名雪  またね〜

何か聞いてはいけない事を聞いたような…忘れよう…忘却の彼方へ!